紀行家・菅江真澄の和歌発見 藤原秀衡しのぶ思い
岩手県平泉町に残る古文書を調査するグループは21日までに、平安時代の奥州の武将、藤原秀衡の六百回忌に当たる1786年、同町の中尊寺で開かれた歌会に、江戸時代後期に東北地方などの人々の暮らしを記録した紀行家、菅江真澄が寄せた和歌を収録した冊子が見つかったと発表した。
専門家は、菅江に関する資料は平成の初期ごろ以降見つかっておらず、貴重な資料としている。
表題に「秀公六百霜懐旧志」と書かれた歌集で、武士や僧侶ら約110人が歌会に寄せた漢詩や和歌、俳諧を掲載。写本とみられ、菅江の和歌「埋もれぬ名のみは高く顕われて雪に跡なき昔をぞ思ふ」があった。雪の情景とともに、秀衡をしのぶ思いが詠まれている。
平泉文化遺産センターの千葉信胤館長らの研究グループが2018年5月、平泉町内の旧家で発見し、菅江研究の拠点がある秋田県立博物館が鑑定評価を進めた。
千葉館長は「当時の平泉地方で、奥州藤原氏の歴史をたたえていこうという流れがあったことを知る手掛かりになる」と話している。〔共同〕