中国、18年6.6%成長 28年ぶり低水準
債務削減・貿易戦争が打撃
【北京=原田逸策】中国国家統計局が21日発表した2018年の国内総生産(GDP)は物価の変動を除く実質で前年比6.6%増えた。成長率は17年から0.2ポイント縮小した。2年ぶりの減速で天安門事件の余波で経済が低迷した90年以来28年ぶりの低水準。足元の18年10~12月期の成長率は6.4%に落ちこんだ。地方政府や企業の債務削減のほか、米国との貿易戦争の打撃が響いた。
18年のGDPは名目で前年比9.7%増の90兆309億元(約1440兆円)と米国に次ぐ世界2位。現在の為替レートで換算すると3位の日本のGDP(約550兆円)の2.6倍になった。
18年の成長率は中国政府の目標「6.5%前後」を上回った。17年は7年ぶりに前年水準を上回ったが、18年は再び減速傾向に戻った。
18年10~12月の成長率は7~9月より0.1ポイント縮小し、3期連続の減速。リーマン・ショック直後の09年1~3月(6.4%)以来の低水準だ。日本経済新聞社と日経QUICKニュースが共同で実施した市場調査の平均(6.4%)と同じだった。伸び率を前期比でみると1.5%となり7~9月(1.6%)から減速した。先進国のように前期比の伸びを年率換算した成長率は6%程度になる。
21日はGDPと別に他の経済統計も発表した。工場やマンションの建設など固定資産投資は18年通年で前年比5.9%増えた。伸び率は17年(7.2%増)より縮小した。鉄道や道路などインフラ投資の伸びが3.8%と17年(19%増)から大幅に鈍化したためだ。
百貨店やスーパー、インターネット通販の売上高を合計した社会消費品小売総額は18年通年で前年比9.0%増えた。伸び率は17年(10.2%)から減速した。伸び率が2桁を割り込むのは03年以来15年ぶり。自動車やスマートフォン(スマホ)の販売が不振だった。18年12月の伸び率は8.2%にとどまった。
工業生産は18年通年で前年比6.2%増えた。伸び率は17年(6.6%増)から縮小した。自動車やスマホ、パソコンの生産が振るわなかった。18年12月の伸び率は5.7%だった。
米国と中国は7~9月に最大25%の追加関税を互いに掛け合った。中国製品は計2500億ドル(約27兆円)分が追加関税の対象で、これらの製品は対米輸出が落ちこんだ。貿易戦争の打撃が顕在化してきたことで消費、生産ともに秋以降の落ち込みがきつい。債務削減で中小零細など民間企業の資金繰りも厳しい。
19年は成長減速が続きそう。貿易戦争の影響がさらに広がり、輸出が一段と落ちこむ公算が大きいからだ。市場では「年前半の下押し圧力が強い」との見方が多い。すでに中国政府も金融緩和、大規模減税、インフラ投資の上積みなどの景気下支え策を打ち出しており、年後半には持ち直しの動きがありそうだ。