アルプスアルパイン、自動運転向け車載情報システム
アルプスアルパインは自動運転を想定した運転席の入出力デバイス「タッチインプットモジュール」を開発した。空中で手を動かすだけで、ディスプレーを操作できるジェスチャー入力を可能にしている。動作をリアルタイムに追随して映像を出力する。1月1日に経営統合したアルプス電気、アルパインの技術を組み合わせており、車載向けの次世代システムとして提案する。
「タッチインプットモジュール」は、ダッシュボードにすえた大型ディスプレー、肘置き近くにあるタッチパネルで構成する。ドライバーによる操作、自動運転それぞれの状況に応じて、入力操作、ディスプレー表示が切り替わる仕組み。使い勝手を高めるとともに、直感的に使え安全性を考慮した。
静電タッチパネルの感度を高めることで、タッチパネルを直接触らなくても、手の動きを読み取れるようにする。自動運転でのジェスチャー操作を想定する。リクライニングシートを倒して、体がパネルから離れていても、ボタンを押したりせず、音響、エアコン、カーナビをはじめとする操作・調整などを想定している。
通常時はドライバーが運転に集中できるよう、大型ディスプレーを走行中に収納して広い視界を保てるようにする。ディスプレー上部の4分の1だけを出して、車速をはじめ最低限の情報に絞って表示する。
タッチパネルは、振動素子を埋め込んでいる。手元を直接、見なくても、自分の操作が伝わったか分かるよう、指先や手のひらで感じられる設定にした。
自動運転モードで走行する際には、ダッシュボード上に大型ディスプレーが現れる。手元のタッチパネルを操作することで、大型画面は手の動きとスムーズに連動し、映像やインタラクティブコンテンツを鑑賞したり、座席のリクライニングを動かしたりできる。乗用車の室内でエンターテインメントを楽しめる仕様をめざす。
アルプスアルパイン(旧アルプス電気)はセンサーやスイッチ部品に強みを持ち、操作性に優れる入力装置の開発に強みを持つ。一方、アルパインはカーナビゲーションシステムで、分かりやすい情報表示や画面設計といった分野で豊富なノウハウがある。今回のシステムはこうした技術を連携している。
自動車業界で「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)が進むなか、部品関連メーカーがワイヤレス充電、ミラーレス対応カメラなど様々な製品を開発している。アルプスアルパインも今回のような独自性がある製品やモジュールを企画・提案し、次世代カーでの受注獲得につなげる。(佐藤雅哉)
ビジネスの最新動向やDXやSDGsへの取り組み、スタートアップ企業の動向などを特集。ビジネス専門紙「日経産業新聞」のコンテンツをまとめてお読みいただけます。
関連企業・業界