米朝、非核化へ仕切り直し 問われる具体策
【ソウル=恩地洋介】米国政府はトランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長による2回目の首脳会談を2月末に開催すると発表した。2018年6月にシンガポールで開いた初会談以降、合意したはずの「完全な非核化」には進展が見られない。再会談で仕切り直しへ動き出すが、膠着打開につながる具体策を導き出せるかは不透明だ。
再会談はトランプ氏と金正恩氏によるトップ間の「書簡外交」がテコになった。トランプ氏は1月2日に金正恩氏の書簡を受け取ったと明かし、「再会談することになるだろう」と語った。その後、自らも金正恩氏に書簡を送り、ベトナムかタイでの開催を提案していた。
再会談では昨年6月の初会談で合意した非核化への具体的な措置や実効性の担保が焦点になるが、米朝の隔たりはなお大きい。
北朝鮮は豊渓里(プンゲリ)核実験場の廃棄や、東倉里(トンチャンリ)のミサイルエンジン試験場の解体に対する「相応の措置」を米側に求めている。一方、米国はすべての保有核や核施設の申告、国際原子力機関(IAEA)による査察の受け入れを要求し、非核化実現までは経済制裁を維持する方針を堅持している。
非核化の進め方を巡る思惑も異なる。「段階的な非核化」を唱える北朝鮮はカードを小刻みに切り合うプロセスを想定している。これに対し、米国は核放棄までの道筋をあらかじめ明らかにする必要があるとの構えだ。
非核化へのプロセスや経済制裁解除を巡る溝が埋まらず、再会談の詳細の決定を見送った可能性もある。韓国の聯合ニュースは「具体的な日程と開催地を公表しておらず、会談までの難関は少なくないとの見方がある」と報じた。
米国務省は18日、ビーガン北朝鮮担当特別代表が19~22日の日程で、国際会議出席のためスウェーデンを訪問すると発表した。同国に滞在中の北朝鮮の崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官と接触する公算が大きい。再会談の成果を左右する実務協議が今後活発になる見通しだ。
米政府の発表を受けて、韓国大統領府報道官は「今回の米朝首脳会談が朝鮮半島の恒久的な平和を確固たるものにする転換点となることを期待する」とコメントした。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。