米朝高官が協議 首脳再会談へ詰め、成果手探り
【ワシントン=永沢毅、ソウル=恩地洋介】米国と北朝鮮が2回目の米朝首脳会談の開催に向けた詰めの協議に入った。ポンペオ国務長官と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長側近の金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長は18日、ワシントンで会談した。首脳再会談の日程や場所などの調整を進めるとみられる。
米朝高官協議はポンペオ氏が最後に訪朝した2018年10月以来3カ月ぶり。首脳再会談を巡っては、同6月の初会談で合意した非核化への具体的な措置が焦点になる。北朝鮮は「相応の措置」として制裁緩和などを求めており、再会談の成果を導き出せるか手探りの協議が続きそうだ。
米メディアによると、トランプ大統領は金正恩氏への書簡でベトナムやタイでの再会談を呼びかけた。3月か4月にベトナム中部ダナンで開く案が取り沙汰されているほか、首都ハノイでの開催説もある。
高官協議で進展があれば、金英哲氏がトランプ氏とホワイトハウスで面会する可能性もある。その場合は18年5月の訪米時と同様に、トランプ氏宛ての金正恩氏の書簡を手渡す可能性がある。
6月の初の首脳会談で金正恩氏が約束しながら進展がない「完全な非核化」に関し、米国は全ての保有核や核施設の申告、国際原子力機関(IAEA)による査察の受け入れを要求してきた。ペンス副大統領は16日の演説で「米国民や同盟国を脅かす核兵器を廃棄する具体的な取り組みを北朝鮮が取るのを待っている」と表明した。
一方、北朝鮮は豊渓里(プンゲリ)核実験場の廃棄や、東倉里(トンチャンリ)のミサイルエンジン試験場の解体に対する「相応の措置」を要求。とりわけ経済制裁の解除を主張しているが、米国は非核化実現まで制裁を緩めない方針を堅持している。米朝がどう接点を見いだすのかが注目点となる。
金英哲氏は17日夜、北京発の民間機でワシントンに到着し、ビーガン北朝鮮担当特別代表の出迎えを受けた。韓国メディアによると、その後に両氏はVIP貴賓室に移動して歓談。金英哲氏はホワイトハウスから約1キロ離れた場所にあるホテルに宿泊した。19日午後の北京行き民間機でワシントンを離れる予定だという。
北朝鮮高官がワシントンに複数日滞在するのは00年に国防委員会第1副委員長だった趙明禄(チョ・ミョンロク)氏が金正日(キム・ジョンイル)総書記の特使として訪れて以来で、約19年ぶり。趙明録氏は滞在中にオルブライト米国務長官やクリントン大統領と会談した。結局は実現しなかったが、初の首脳会談の地ならしにあたった。