十八銀株主、安堵と期待 最後の総会 ふくおかFG統合承認
十八銀行は18日、長崎市内の本店で臨時株主総会を開き、ふくおかフィナンシャルグループ(FG)との経営統合について承認を得た。4月1日に統合し、2020年10月にふくおかFG傘下の親和銀行と合併する。出席した株主からは、長い審査を経ての統合実現に安堵と期待の声が聞かれた。上場企業として最後の総会には、長年勤めた銀行の行く末を案ずる元行員の姿も目立った。
242人の株主が出席した総会は、午前10時に始まり40分ほどで終わった。森拓二郎頭取は、人口減や高齢化が進む長崎で経済を活性化するには統合が必要と説明。参加者によると、反対意見は出なかったという。
経営統合では、十八銀株1株に対してふくおかFG株1.12株を割り当てる。森頭取は「受け取る配当は5割ほど増える見込みだ」として、十八銀株主にもメリットがあると強調した。
20年10月に親和銀と合併した後の預金保護の上限(ペイオフ)については、「1年間の猶予期間は2千万円だが、その後は1千万円になる」と説明。経営基盤が強化されるため「(預金減少で)破綻するといった懸念はない」とした。
80代の株主は「長崎を支えるため親和銀と一緒になるのは合理的な判断」と評価。十八銀と取引のある水産卸会社の経営者男性は「県内で争って体力がなくなるよりいい。大きなバックがつくことで、我々中小企業も安心できる」と安堵した。
元頭取の野崎元治氏は「長崎のあり方をどうすべきか考えて道を探ってほしい」と期待を込めた。参加するか朝まで迷ったという十八銀OBは、「娘をお嫁に出す気分。寂しい一方で本人のためにはいいと思う」と複雑な心境を語った。初めて総会に参加したという元行員も多かった。
十八銀とふくおかFGは16年2月に経営統合に基本合意。だが公正取引委員会が長崎県での競争が実質的に制限されることを懸念し、審査が長引いた。18年8月、他の金融機関に対する1000億円弱の債権移管などを条件に統合を承認した。