ずさん統計、労使にしわ寄せ 予算案修正、労働特会から事務費96億円
政府は18日、毎月勤労統計の不適切調査に対応するため2019年度予算案の閣議決定をやり直した。本来より少なかった雇用保険の失業給付などを本人に追加給付するための費用を計上した。財源の多くは労使が拠出した保険料をプールしている特別会計から出すことになっており、ずさん統計のしわ寄せが労使に及ぶ格好だ。
毎月勤労統計は雇用保険や労災保険の支給額を算定する際に使う。04年から統計上の賃金が本来より低めに出ており、失業給付などが過少になっていた。のべ2015万人に追加給付が必要だ。
同日の閣議決定では19年度の一般会計の総額を当初案より約6億5千万円積み増し、101兆4571億円とした。過去に閣議決定した予算案を決め直したのは2回しかなく、中央省庁の不始末で修正するのは初めて。
一般会計への計上は追加給付の国庫負担分だけで、このほかに給付に対応するためのシステム改修など事務費が195億円必要だという。政府はこの大半を労使が支払う保険料などを原資とした労働保険特別会計から充てる。19年度予算案に96億円を計上し、残りを20年度以降に回す。
厚生労働省は過少給付があった労働保険には自営業者らが入らないので一般会計ではなく特別会計で対応するという考え。「事務費節減などで財源を捻出する」と説明しているが、節減分は本来なら将来の失業増加などに備える積立金などに回せるお金だ。連合の神津里季生会長は18日の記者会見で「働き手が汗水垂らして拠出する保険料で賄うことは理解できない」と批判した。