「緊密な協議続ける」 英エネルギー相、日立の原発凍結で
【ロンドン=篠崎健太】英国のクラーク民間企業・エネルギー・産業戦略相は17日、日立製作所が英原発計画の凍結を決めたことについて「最善の資金調達方法を探すべく日立などと緊密に協議していく」と語った。原子力は今後も重要なエネルギー源だと強調。一方で再生可能エネルギーの急激なコスト低下に触れ、原発の経済性を慎重に見極める考えを示した。
英議会下院で説明したクラーク氏は「エネルギー市場の経済性が近年著しく変わってきた」と述べた。安価な代替エネルギーの浸透に加え、安全基準強化によるコスト増で原発は「民間資金の誘致がかつてより難しくなっている」と認めた。
英政府はエネルギー政策の白書を今夏にまとめ、原子力のあり方を示すことにしている。クラーク氏は原発は重要だが「納税者と消費者に価値を提供しなければならない」とも強調した。既存原発の老朽化が進む中で難しい判断を迫られる。
地元メディアは日立の原発凍結決定を相次ぎ速報した。英紙ガーディアンは「欧州連合(EU)離脱後に投資を呼び込みたい英政府に深刻な打撃だ」と報じた。BBCは「エネルギー危機の可能性を高める決定だ」と懸念する関係者の声を伝えた。
英原子力産業協会のトム・グレートレックス最高経営責任者(CEO)は「地元や業界全体を失望させるものだ」との声明を出した。