「尋常ではない変化が起きた」 日本電産の永守会長
日本電産は17日、2019年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比14%減の1120億円になる見通しだと下方修正を発表した。従来予想(12%増の1470億円)から一転して減益となる。都内で記者会見した永守重信会長は「尋常ではない変化が起きた。46年経営を行ってきたが、月単位で受注がこんなに落ち込んだのは初めて」と話した。主なやり取りは以下の通り。
――中国需要の減速の影響は。
永守会長「昨年10月まで計画通りに推移していたが、11月、12月になって受注ベースで世界的に全てのセグメントで尋常ではない変化が起きた。46年間経営をやってきて、月単位でこんなに落ち込んだのは初めてだ」
――主にどの分野で影響が出ましたか。
吉本浩之社長「車載向けのモーターの生産が昨年7月から徐々に低調になり、11月、12月とさらに落ち込んだ。中国での生産台数は18年11月に前年同月に比べ3割減になった」
永守会長「省エネ家電も昨年11月、12月に3~4割落ち込んだ。現状のままではエアコン関連で4千万台の在庫があると聞いている。中国政府の施策で在庫の状況は変わるかもしれないが、場合によっては19年4~6月期まで在庫がはけない可能性がある」
――240億円の構造改革費用の内訳は。
佐藤明副社長「設備の償却に100億円を計上する。需要の減っているハードディスクドライブ(HDD)向けモーターを生産するフィリピンの工場の転用のほか、欧州工場の統廃合を予定より早く進める。在庫の償却に80億円。残りは19年度に計上予定だったM&A(合併・買収)に関連した費用を18年度に織り込む」
――今後をどう見通しますか。
永守会長「20年度に売上高2兆円を達成する目標は変えない。投資すべきものには投資し、新事業も計画通りに進める。ただ、世界経済や政治の影響で足元がこれだけ大きく変化をした。縮むのではなく、しゃがんで、それからまた飛躍する。構造改革を先行的に行い、仮にさらに市場が悪化しても我々は結果を出すつもりだ」
(田辺静)
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