稀勢の里が引退 横綱在位12場所、初場所3連敗
大相撲の横綱稀勢の里(32)=本名・萩原寛、茨城県出身、田子ノ浦部屋=が初場所4日目の16日、現役を引退することを決めた。2017年1月の初場所後に19年ぶりの日本出身の新横綱となったが、左上腕などの故障が響き同年5月の夏場所から8場所連続休場。昨年11月の九州場所は初日から4連敗、初場所も初日から3連敗と振るわず、昨年9月の秋場所千秋楽から続く連敗(不戦敗は除く)が8に伸び、横綱のワースト記録(1場所15日制が定着した1949年夏場所以降)を更新していた。
横綱在位12場所は、年6場所制が定着した58年以降では7位の短命となった。今後は年寄「荒磯」を襲名し、後進の指導にあたる予定。
稀勢の里は茨城県牛久市出身。15歳で角界入りしたたたき上げで、02年春場所で初土俵を踏んだ。馬力を生かした突き押しでスピード出世して、貴花田(のちの横綱貴乃花)に次ぐ昭和以降2番目の若さで新十両(17歳9カ月)、新入幕(18歳3カ月)を果たすなど、早くから将来を嘱望された。三役で長らく足踏みしたものの、25歳だった11年九州場所後に大関に昇進した。
大関ではあと一歩で賜杯を逃し続けてきたが、17年初場所で悲願の初優勝、場所後に30歳6カ月で72代横綱に昇進した。ただ、新横綱として臨んだ17年春場所13日目に左上腕や左大胸筋を負傷、それでも強行出場して逆転優勝し、大きな感動を呼んだ。だが、その後は故障が癒えず、年6場所制となった58年以降では横綱ワースト記録となる8場所連続休場と苦しんできた。初日から4連敗した昨年11月の九州場所の後には横綱審議委員会から初の「激励」を決議された。
優勝2回。三賞は殊勲賞5回、敢闘賞3回、技能賞1回。幕内通算714勝は歴代6位。通算成績は初場所3日目時点で800勝495敗97休。