北朝鮮高官、近く訪米か 米朝再会談へ調整
ベトナム開催案浮上
【ワシントン=永沢毅、ソウル=恩地洋介】米CNNは14日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長側近の金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長が週内にもワシントンを訪れ、2回目の米朝首脳会談の調整にあたる可能性があると報じた。再会談は2月中旬以降のベトナム開催案が有力視されているが、実現には北朝鮮の非核化や経済制裁などを巡る双方の歩み寄りが前提となる。
金英哲氏のワシントン訪問は韓国大手紙の朝鮮日報も15日付で報じた。外交消息筋の話として、17~18日ごろにポンペオ国務長官と協議するほか、トランプ米大統領と面会する可能性があると伝えた。金英哲氏が2018年6月の米朝首脳会談前の5月に訪米した際はトランプ氏と会い、書簡を手渡した。
CNNは関係筋の話として、トランプ大統領から金正恩氏宛ての書簡がこの週末に届けられたとも報じた。具体的な時期や開催地を提案した可能性もある。トランプ氏は再会談の早期開催に一貫して意欲的だ。ポンペオ氏は13日の米CBS番組のインタビューで「いま私たちは詳細を詰めているところだ」と述べていた。
米国は再会談の候補地としてハワイ、バンコク、ハノイにホワイトハウス関係者を派遣し視察させた。最有力視されているのは北朝鮮と友好関係にあるベトナムだという。
金正恩氏の異母兄である金正男(キム・ジョンナム)氏が17年にマレーシアで殺害された事件では、実行犯としてベトナム国籍の女が逮捕された。それ以降、北朝鮮とベトナムの関係は冷え込んでいたが、昨年11月に北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相がベトナムを訪れ関係修復に動いていた。
米朝再会談の実現には、行き詰まっている非核化交渉の溝を埋める必要がある。米国は10月に金正恩氏がポンペオ氏に伝えた寧辺(ニョンビョン)核施設の査察や廃棄、北朝鮮は経済制裁の緩和などの具体的措置を互いに要求し合っているもようだ。米朝高官の協議はポンペオ氏が18年10月に平壌を訪れて以来、開かれていない。