EU離脱案、英議会が15日採決 3つのポイント
英議会下院は15日、英政府と欧州連合(EU)が合意したEU離脱案を採決します。野党は軒並み反対な上、与党・保守党の強硬離脱派議員の大量造反も見込まれ、否決される可能性が高いとみられています。経済活動が混乱しかねない「合意なき離脱」を避けられるか、重大な局面を迎えます。
(1)英・EU双方の議会で承認必要
英国は3月29日午後11時(日本時間30日午前8時)にEUから離脱します。英とEUは長い交渉の末、2018年11月に離脱条件で合意しました。20年末までは現状を保つ「移行期間」が盛り込まれています。離脱を円滑に運ぶための施策で、実現には英・EU双方の議会の承認が要ります。
(2)12月から延期、可決のメドなお立たず
離脱案は当初、18年12月11日に英議会で採決される予定でした。ところが離脱にあたって陸続きのアイルランドとの国境をどう扱うかを巡って議会が紛糾。解決策が見つからなければ英全体がEU関税同盟に残るとする安全策に、保守党内からも批判が起きました。メイ首相は「大差で否決される」として前日に延期を決めました。メイ氏はその後、EU側から「安全策は一時的」との説明を得ましたが、強硬派議員を翻意させるには至っていません。
(3)否決なら速やかに代替案
否決された際は「3開会日以内」に代替案を示すよう政府に求める動議が、審議の過程で通されています。21日が期限となりますが、EUと修正を議論する時間は限られます。離脱日の延期を含む本格的な再交渉や、2度目の国民投票など様々な選択肢が浮上する可能性もあり、政局は混沌としそうです。