JOC竹田会長「潔白証明に全力」汚職疑惑改めて否定
2020年東京五輪・パラリンピックの招致活動で汚職の疑いがあるとして、仏裁判所から「予審」手続きの捜査を受けている竹田恒和・日本オリンピック委員会(JOC)会長が15日午前、東京都内で記者会見し、疑惑を改めて否定した。
竹田会長は記者会見で「今回の騒動により東京五輪開催に向け、着実な準備を進めている皆様に影響を与えかねない状況になり、大変申し訳なく思っている」と謝罪。そのうえで「フランス当局に全面的に協力して、潔白証明に全力を尽くす」と述べた。
30分間を予定していた会見は7分で終了。質疑には応じず、記者団からはJOCの担当者に対して「説明責任を果たしていない」などの声が相次いだ。竹田会長は会見後、「捜査への影響があり得るので、質疑応答は控えることとした」とするコメントを出した。
竹田会長は東京大会招致委員会の元理事長。同委員会は13年、シンガポールのコンサルタント会社「ブラック・タイディングス」にコンサル料として計約2億3千万円を送金した。仏当局はこの一部が当時、国際オリンピック委員会(IOC)委員だったラミン・ディアク氏側への賄賂の疑いがあるとみているもよう。
竹田会長は送金の承認手続きについて、「通常の手続きを経て理事長の私が承認した。ブラック・タイディングスとの契約に関し、いかなる意思決定にも関与していない」と説明。コンサル会社の業務への正当な対価だったと改めて主張した。
送金のあった13年は20年大会の開催都市を決めるIOC総会があり、セネガル出身で国際陸上競技連盟元会長のディアク氏は陸上界やアフリカ諸国のとりまとめ役とみられていた。
送金先のコンサル会社の代表者はディアク氏の息子と親密な関係だったとされる。15年に仏捜査当局がディアク氏に絡むドーピング問題をめぐる資金の流れを追う中で疑惑が浮上し、仏当局が捜査していた。
フランスでは民間同士の賄賂のやりとりでも贈収賄罪が成立する。仏検察当局は捜査継続が適切と判断し、重大事件の公判前に裁判所が捜査する「予審」の手続きに移した。予審判事は18年12月に竹田会長から事情聴取した。他の関係者の聴取などを進め、公判を開くかどうかを決める。
竹田会長は1972年ミュンヘン五輪と76年モントリオール五輪の馬術日本代表。2001年にJOC会長に就任し、12年にIOC委員となった。