トランプ氏、トルコをけん制 クルド勢力攻撃めぐり
【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は13日、シリアの過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討作戦で米軍と協力関係にあるクルド人勢力に対し、トルコが攻撃に踏み切った場合には「トルコに経済面で打撃を与える」とツイッターへの投稿で警告した。米軍のシリア撤収後もクルド人勢力がIS掃討に専念できる環境をつくるため、トルコをけん制した。
一方、トルコ大統領府のカルン報道官は14日、トランプ氏の発言に「致命的な間違いだ」とツイッターで反論した。
トランプ氏は、トルコとシリアのクルド人勢力の衝突を避ける目的で20マイル(約32キロ)の安全地帯を設けるべきだと提案した。ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)もIS掃討を円滑に進めるため、シリアからの米軍撤収の条件にトルコからのクルド人勢力の保護をあげていた。
ただボルトン氏は11日の米ラジオ番組では、トルコのエルドアン大統領がクルド人勢力を攻撃しないと約束したと説明し、トランプ氏が主導するシリアからの米軍撤収に理解を示していた。トランプ氏がトルコによる攻撃をけん制したことで、実際にはクルド人勢力の保護をめぐる米・トルコの協議が難航している可能性がある。
トルコはクルド人勢力をテロ組織とみなし「国家の安全を脅かす組織に必要な行動をとる」(チャブシオール外相)として攻撃を辞さない構えを強調している。米軍主導の有志国連合は11日、米軍がシリア撤収を始めたと公表したが、撤収条件を満たす前の見切り発車だったとみられる。
ただトランプ氏は「長らく延期されてきたシリアからの撤収が始まった」と成果を強調した。「(IS掃討作戦は)米国に有益だったが米軍は帰還するときだ。終わりなき戦争はやめよう!」と訴えた。シリアでISが復活した場合には、米軍が駐留するイラクの空軍基地などを念頭に「近くにある既存の基地から再び攻撃をする」と説明した。