「壁建設」支持者増、トランプ氏に追い風も 米調査
【ワシントン=中村亮】米紙ワシントン・ポストと米ABCニュースは13日、メキシコとの国境の壁建設を支持するとの回答が42%と2018年1月に比べて8ポイント増えたとの世論調査の結果を発表した。トランプ大統領は2020年の大統領選をにらんで壁建設の必要性を訴えており、建設に反対する野党・民主党との協議で譲歩する余地が狭まりそうだ。
調査によると、共和党支持者のうち壁建設を支持するとの回答が87%と1年前に比べて16ポイント上昇した。無党派層も支持が11ポイント増えて40%となった。トランプ氏は壁建設を推進し、不法移民政策で厳しい措置を求める保守層の支持固めを狙っており、現時点で戦略が成功しているとみられる。民主党支持者で壁建設に賛成する意見は12%にとどまった。
メキシコからの不法移民流入の現状を「危機」と位置づけるトランプ氏の主張に賛成する回答は24%にとどまった。ただ「危機ではないが深刻な問題だ」とする回答も47%あった。何らかの形で不法移民への対策強化を求める世論が浮き彫りになった。
トランプ氏は13日「国境の崩壊による米国への悪影響は政府閉鎖(による悪影響)よりもはるかに大きい」とツイッターで訴えた。「壁建設は全米での犯罪率の低下につながる」と主張。「私はホワイトハウスで待っている」として、壁建設に反発する民主党に譲歩を促した。
ただワシントン・ポストなどの調査では、壁建設に充てる予算が手当てできず、一部の政府機関が閉鎖されていることについてはトランプ氏や与党・共和党に責任があるとの回答が53%に達した。民主党の責任を問う回答は29%にとどまった。
米国では18年12月22日に一部の連邦政府機関の閉鎖が始まった。トランプ氏が壁建設予算として57億ドル(6200億円)を求めるが民主党が反対しているためだ。政府閉鎖を受けて、連邦職員が給与を受け取れなくなるなど国民生活にも影響が出始めている。
ドナルド・トランプ元アメリカ大統領に関する最新ニュースを紹介します。11月の米大統領選挙で共和党の候補者として、バイデン大統領と再び対決します。「もしトラ」の世界はどうなるのか、など解説します。