米、農産品も協議要求 対EU貿易交渉
【ワシントン=鳳山太成】米通商代表部(USTR)は11日、欧州連合(EU)との貿易交渉に向けた交渉目的を発表した。関税引き下げなど農産品の市場開放を求める。米国が農産品の協議を正式に求めたのは初めて。米欧首脳は農産品を交渉に含めないことで合意していたが、トランプ米大統領はEU市場が閉鎖的だと批判を強めていた。日米に加え、米欧の交渉も厳しい展開になりそうだ。
今回、交渉目的を議会に通知したことで米国側としては2月中旬にも交渉を始められるようになった。EU側も加盟国の同意を得る必要がある。
交渉目的では「関税を引き下げたり削減したりすることで、米国の農産品への包括的な市場アクセスをEUで確保する」とした。トランプ氏とユンケル欧州委員長は2018年7月の会談で「自動車を除く工業製品」の関税交渉を始めることで合意した。農産品の交渉は農業国フランスなどが反対し、マルムストローム欧州委員(通商担当)も否定してきた。
一方、EUが協議事項に含めるよう求めてきた自動車には触れていない。EUは世界貿易機関(WTO)ルールを満たすには自動車も含めるべきだとの立場だ。米国は小型トラックに課す25%の高関税に議論が及ぶのを避けるため対象外とするよう求めた経緯がある。
米国は対EU交渉でも為替問題を協議する構えだ。「不公正な競争優位を得るための為替レート操作を控える」よう促す。トランプ政権は対日交渉でも為替を協議する意向を示しているほか、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定にも為替条項を盛り込んだ。