韓国検察、前最高裁長官を聴取 徴用工裁判に介入の疑い
【ソウル=山田健一】韓国大法院(最高裁)が朴槿恵(パク・クネ)前政権時代に、上告審で元徴用工訴訟の確定判決を出すのを遅らせたとされる問題で、韓国検察は11日、梁承泰(ヤン・スンテ)前最高裁長官を聴取した。検察側は梁氏に職権乱用の疑いがあるとみている。韓国メディアによると、最高裁長官経験者が容疑者として取り調べを受けるのは初めて。
梁氏は午前9時過ぎ、ソウル中央地検に出頭。報道陣に対し、「事実関係を記憶通りに答え誤解があれば十分に説明する」と述べ、地検の中に入った。
韓国メディアによると、検察側は元徴用工訴訟の確定判決を出すのを遅らせるため、元最高裁判事2人と共謀したとの構図を描いている。最高裁は日韓関係の悪化を危ぶむ朴前政権の意向をくんで、確定判決を出すのを遅らせたり、日本企業に賠償を命じた二審を破棄する逆転判決を促したりしたとされる。
ただ、これまでの報道では梁氏は疑惑を否定しているとされるほか、元最高裁判事2人についても検察が取り調べた後に逮捕状を請求したが、裁判所は請求を棄却した。このため、梁氏が逮捕されるかは不透明だ。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は10日の年頭記者会見で、元徴用工訴訟に関する韓国政府の対応がまだ出ていないことについて、この事件の捜査が続いていることが関係しているとの考えをにじませた。捜査は、徴用工問題の行方と絡む可能性もあり、注目される。
元徴用工を巡る訴訟は、梁氏が退任後の2018年10月、最高裁が日本企業への賠償を命じる確定判決を出した。これに対し、日本政府は問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みだとして、協定に基づく2国間協議を韓国政府に要請するなど、日韓関係が悪化している。