新日鉄住金・橋本新社長、「楽観主義捨てる」
新日鉄住金の新社長に就任する橋本英二副社長は10日、都内で記者会見を開いた。主なやり取りは以下の通り。
――新日鉄住金をどのように率いていくのでしょうか。
「基本方針は『総合力で世界ナンバーワン』しかない。技術、コスト、グローバル展開力をさらに追求し、明確な競争優位を確立したい。新日鉄住金は世界の各地域でナンバーワンのパートナーを持ち、情報収集力、分析力、戦略立案力はトップレベルだ。実行力も引き上げれば、総合力ナンバーワンを達成できる」
「海外事業は一定の収益貢献ができるようになった。ただ、個別に中身を見れば立ち上げ途上で、黒字化のメドが立っていなかったり、長期にわたって有望だったが環境変化で役割を終えつつあったりする事業もある」
「全体ではなく、個別個別に考えていく。楽観的な前提を置いて、背伸びした事業計画をつくるような確たる根拠のない楽観主義は捨てる」
――鉄鋼業界の国際競争をどう見ていますか。
「2000年代に入って中国が消費でも生産でも世界の半分を占め、鉄鋼業のあり方が変わった。明確なトレンドは鉄鋼の『自国産化』だ。自国産化を達成している国は保護主義に向かう。世界で成長するには、メーン市場のインサイダーになる必要がある」
「鉄鋼業を巡る問題は米中貿易問題だけでなく多方面に広がり、鉄の実需を押し下げる局面になりつつある。ただ、自国産化の流れは変わらない。インドなど新興国の需要は確実に伸びる。伸びる市場に経営資源をつぎ込んでいく」
――ブラジルや中国で事業運営してきた経験を今後の経営でどう生かしますか。
「(持ち分法適用会社の)ブラジルの鉄鋼大手ウジミナスでは、パートナーであるアルゼンチンの鉄鋼大手テルニウムと経営権を巡るコンフリクト(紛争)があった。お互いの役割分担が不明確だったためで、トップ人事のルールもなかった。現在はお互い反省し、新しいルールをつくった。経営状況は過去最高まで急回復している」
「パートナーと合弁を組むには、相手をよく勉強して見極めなければならない。ただ、地球の裏側の会社だけに、よくわからないこともある。役割分担を明確にして、拘束力ある形で明文化していく必要がある」