幼児向け通信教育、花盛り 受験意識や教育改革背景に
少子化で教育市場が横ばいで推移するなか、幼児通信教育が熱を帯びている。名門塾「こぐま会」教材を使う通信教育KCC(東京・中央)はサンリオの男児向けキャラクターを使った講座を4月に開講する。小学館集英社プロダクション(同・千代田)も幼児向け教材を4月に刷新する。小中学受験の増加や2020年度の教育改革で早期教育への関心が高まる。
KCCが開講するのは「のりものゼミ ザ ラナバウツ」。サンリオからキャラクター使用権の許諾を受け、乗り物をテーマにしたキャラクター「ザ ラナバウツ」を使用する。絵本やカード、塗り絵で子どもが楽しみながら思考力を高められる。幼児教育実践研究所(同・渋谷)が運営する小学受験の名門塾「こぐま会」の教材で学べる点が特徴だ。
15年開講の「ハローキティ・ゼミ」と教材の内容は同一。子どもの好みに合わせて教材を選べるようにする。
KCCによると「ハローキティ・ゼミ」は親しみのあるキャラクターを使った教材が好評で、会員数は非公表だが伸びているという。「中学受験まで見据え、早めに準備しようと入会する保護者が多い。子どもが0歳で申し込む事例もある」(広報担当者)
月会費は税別1980円。年少、年中、年長クラスがあり、初月4月号への入会は4月上旬まで受け付ける。
幼児通信教育を巡っては、各社が新サービスを投入している。小学館集英社プロダクションは「ドラゼミ」「ぷちドラゼミ」を刷新し、4月に幼児から小学生まで一貫した新教材「まなびwith(ウィズ)」を提供する。20年度に控える小学校の新学習指導要領を意識し、思考力と体験を重視した教材を使用する。
ジャストシステムは18年12月、タブレット端末を使う「スマイルゼミ」に幼児コースを追加した。「ひらがな」や「かず」など10分野を、幼児が一人で学習できるように工夫した。
矢野経済研究所(同・中野)によると、17年度の教育市場規模は16年度比1.8%増の2兆5623億円だった。近年横ばいで推移するなか、17年度の幼児通信教育市場は「大手事業者の会員数回復で上向いた」(同社)。少子化で市場縮小も見込まれるなか、幼児教育への関心の高まりを受けて商機が広がっていきそうだ。