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慢心はなかったか 海外G1ゼロ勝という警告

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2019年の競馬が幕を開けた。昨年はアーモンドアイが3歳牝馬三冠、ジャパンカップと計4つのG1を席巻。同馬の陣営は早々と、今年3月末のドバイ国際競走参戦を表明し、秋は仏G1、凱旋門賞に向かいそうだ。景気よく花火が上がっているが、足元を見れば話は違う。昨年、日本馬は8年ぶりに海外G1を勝てなかった。金城湯池だったはずの香港やドバイで勝てなかったのが響いた。特に12月の香港国際競走では、4つのG1を施行する形態になってから初めて、地元・香港馬が全勝した。1200~1600メートルで強さを誇っていた香港馬が、中長距離でも「ホームなら勝つ」段階に達したのだ。今世紀に入って「日本馬は強くなった」との声を聞く機会が多くなったが、昨年の結果は慢心を強く警告している。

中長距離でも香港馬に勝てず

昨年の香港国際競走は12月9日、香港・シャティンで行われた。日本勢は4つのG1に計9頭が参戦。香港ヴァーズ(芝2400メートル)のリスグラシュー、香港マイル(芝1600メートル)のヴィブロス、香港カップ(芝2000メートル)のディアドラが2着と好走したものの、勝利は逸した。17年4月に同所で行われたクイーンエリザベス2世カップ(芝2000メートル)のネオリアリズムから続く、海外G1での連敗を止められずに年を越した。

惜しかったのはリスグラシューで、好位置から直線で一度は前に出たが、勝ったエグザルタント(4歳去勢馬)に差し返されて首差負け。残る2頭は完敗だった。ヴィブロスは圧勝した強豪ビューティジェネレーション(6歳去勢馬)に3馬身差をつけられた。ディアドラは1番人気ながら、巧みなペースで逃げたグロリアスフォーエバー(4歳去勢馬)に1馬身差及ばず。同日のシャティンは先行有利の傾向で、末脚自慢の同馬には不利な展開だったが、弱点を露呈したとも言える。

2着が全て牝馬だったのは象徴的だ。キタサンブラックの引退後、国内競馬の主流と言える古馬の中長距離路線は混戦が続く。昨年はこの路線で複数のG1を勝つ馬が出なかった。牝馬が遠征して戦えるのは、一概に悪い状況ではないが、勝ちきれる馬がいない現状を映してもいる。戦前の予想では、9頭と少頭数でほぼ地元勢との戦いと見られた「カップ」が有望視されていた。だが、前哨戦では激しかった地元勢の先行争いが、本番では全く見られず、ディアドラは追い込み馬の負けパターンにはまった。「ヴァーズ」は欧州勢が最高3着と不発で、後から考えれば、ここで勝てなかったのが悔やまれる。

香港国際競走が現在の4G1体制になったのは「スプリント」がG1に昇格した02年から。各G1の国・地域別勝利数を見ると、距離ごとに顕著な差がある。地元勢が苦戦していたのが「ヴァーズ」で、昨年を含めて19回中2勝だけ。「カップ」も20回中8勝だが、「スプリント」(17回)と「マイル」(19回)は各14勝と圧倒的だ。サラブレッド生産のない香港競馬は、主にオセアニアから馬を輸入して施行しており、この地域が強い短距離や1600メートル路線が香港馬の得意な距離でもあった。だが、中長距離の重賞路線の整備に、業績好調に支えられて馬主が購買力を増したことも重なり、苦手だった領域でも戦力が整ってきた。

さらに変化を後押ししそうな材料が、昨年8月28日に中国広東省に開場した従化区トレーニングセンター(CTC)だ。広州から車で約1時間、シャティンから約4時間の位置にあり、約660の馬房と芝、全天候の2本の馬場、さらに全長1100メートルの芝の坂路をも備える。香港は従来、日本の多くの地方競馬と同様、競馬場で調教も行っていたため、頭数確保と調教のやり方に制約があった。既にCTCとシャティンを往来する馬もいるため衛生条件が変わり、検疫制度の厳格なオーストラリアの馬が香港国際競走に参加しないという負の側面も表面化している。とは言え、芝の坂路という日本にもない調教施設が、今後の香港馬をどう変えるのか興味深い。

クラブ法人所有馬と遠征経費

一方の日本馬。今年最初の遠征は1月26日に米国ガルフストリームパーク(フロリダ州)で行われる新設G1、ペガサスワールドカップ・ターフ招待ステークス(芝約1900メートル)のアエロリット(牝5、美浦・菊沢隆徳厩舎)に決まった。同レースは高額の出走登録料で話題を集めたペガサスワールドカップ(G1、ダート1800メートル)の前座競走で、総賞金700万ドル(約7億5600万円)、1着賞金300万ドル(約3億2400万円)だが、登録料も50万ドル(約5400万円)と高額だ。昨年、日本産馬として初めて米国のダートG1を勝ったハーツクライ産駒のヨシダ(牡5)も参戦する見通し。

アエロリットは40口のクラブ法人(サンデーレーシング)所有馬で、通算獲得賞金は3億3802万円。1口当たり約845万円となる。登録料は1口当たり135万円で、輸送費なども加えれば相当な負担だが、あえて向かうのは、左回りコースを求めた結果だろう。国内で1~3月にアエロリットの適性に合ったレースがない事情もある。興味深いチャレンジと言えるが、遠征に関しては個人所有馬なら生じない問題が起きてくる。

出資者の合意形成である。クラブ法人所有馬の場合、現実に資金を出して支えているのは出資会員だが、彼らは競馬施行者が規定する「馬主」ではない。馬主登録には資産要件や暴力団との関係がないなどの点を審査でクリアにする必要があるからだ(ただし、馬主登録のある人が、出資する場合もある)。結局、クラブ所有馬の多くは、主に生産者などを母体とする「運営側」の意思が進路を左右する。だが、非招待競走に遠征する場合、負担は出資者に回ってくるから、意思決定する側と経費の出し手が異なるという現象が起きる。

アーモンドアイも実は同じ状況にある。同馬はシルクレーシングの所有で500口(1口6万円)に分けて出資が募られた。既に7億2022万円を稼いでおり、1口当たり約144万円に達している。関係者は既に3月30日のドバイ国際競走参戦を表明し、国内の前哨戦を経ずに直行する見通しだ。問題はドバイ・ターフ(1800メートル)とドバイ・シーマクラシック(2410メートル)のどちらを選択するか。賞金は同額(1着360万ドル=約3億8888万円)で、距離はどちらでも問題はなく、クリストフ・ルメール騎手(39)の他の騎乗馬との兼ね合いが進路を決めそうだ。彼が乗る有力馬の1頭であるレイデオロが、ドバイと日程の重なる2000メートルの大阪杯に進むと、ルメールが一方に乗れなくなる。この点から、レイデオロはドバイ・シーマクラシック、アーモンドアイはドバイ・ターフという進路が考えられる。

アーモンドアイに斤量との戦い

凱旋門賞を目指す馬が、3月にドバイで走るのは正しい選択だろうか? 欧州の主力はまだシーズンオフである。昨年、凱旋門賞連覇を飾ったエネイブル(牝5)は体調が整わず、復帰が9月にずれ込んだ。これは例外としても、古馬なら健康な場合でも、始動は早くて5月初旬前後だ。だが、アーモンドアイもレイデオロもクラブ法人所有である。運営側は出資者の視線を意識し、欧州遠征が視野に入る馬ならなおさら、「どこかで稼いでおこう」という心理が働くのは想像に難くない。凱旋門賞との連動性が薄いドバイに向かうのも、「大人の事情」ゆえなのだ。

こうした問題と別に、日本馬、特に古馬には斤量という難敵が待ち受ける。国内G1では、斤量が重い天皇賞でさえ牡馬58キロ、牝馬56キロ(秋は3歳馬2キロ減)。ジャパンカップはさらに1キロ軽く、昨年のアーモンドアイは53キロで出走した。だが、凱旋門賞は牡馬59.5キロ、牝馬58キロ(3歳馬3キロ減)である。昨年は55キロまでしか経験していない同馬が、凱旋門賞では58キロを背負う。ドバイ国際競走は55キロ、香港国際競走は55.5キロだから、アジア圏にいては経験できない厳しい条件となる。凱旋門賞の行われるパリのロンシャン競馬場は直線に坂もなく、コース形態も日本に近いが、それでも日本馬は力を要する芝に苦戦してきた。軽い馬場での瞬発力を誇るアーモンドアイが、58キロを背負って、日本で見せたような戦いができるのか。最大の不安である。

エルコンドルパサーが凱旋門賞で2着に入ってから、今年で20年。現地に適応すべく4月からフランスに腰を据えた決断自体が壮挙と言えた。日本のレースの高額賞金を捨てるのは容易な決断ではないからだ。だが、国内では後に「短期滞在で行って勝つのが本当の強さ」といった議論も出た。改めてこの20年を振り返れば、甘い考えだったと言うべきだろう。13年までに2着4回を数え、「そろそろ順番」と思いきや、最近3年は連続で2桁着順の惨敗。ハードルが低かったはずのドバイや香港でも勝てていない。「日本馬は強い」という認識が慢心の産物なのか、実体的根拠があるのか。今年は厳しく問われる年になる。

(野元賢一)

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