堂安、最年少ゴール狙う サッカーアジア杯きょう初戦
【アブダビ(アラブ首長国連邦)=岸名章友】サッカーのアジアカップで2大会ぶりの優勝を目指す日本代表は9日午後3時(日本時間同8時)から、アブダビで行われる1次リーグF組の初戦でトルクメニスタンと戦う。MF堂安律(フローニンゲン)は20歳ながらも、左足でのシュートセンスなら現チームでトップクラス。得点すればアジアカップ日本代表での最年少ゴール記録を塗り替える。
この20歳は自分を隠そうとしない。「これが堂安律、というプレーをみせたい」と口にしてはばからない。隠そうとしても表に出るくらいのエゴを確立できねば、本場の欧州では生き残れないと心得ているかのように。
逃げのパスにも走らない。突破なりシュートなり、攻撃をしかけることが自分の存在意義との自負がある。「ボールを持てる時間が長いだろうけど、それを味方を探す時間に使うとワナにはまる。チームのために、と考えすぎないこと」と話す。それぞれが味方にパスを託して緩く回すだけでは打開など始まらない、との信条を持っている。
安易にボールを手放さない堂安はタメをつくれる。味方が追い越して前へ上がる時間ができ、アクセントが生まれる。「オレが」という姿勢が良い効果ももたらすわけで、堂安にとって自分を強く出すこととチームへの貢献は相反するものではない。ボールを持たないときのサイドでのチェイシングや寄せは献身的で、自己中心的ではない。
長友(ガラタサライ)は8年前、優勝したアジアカップでの躍動を足がかりにイタリアの名門インテルへ飛躍した。「ロケットのようなステップアップ、不可能も可能になりうる大会。選手はもっとギラギラしていい」という先輩の発破は、堂安に掛けられてもいる。
オランダへ飛び出した1季目にリーグ9得点、今季もここまで4得点。その力が本物か、試される舞台が始まる。「アジアで優勝を目指しながらも、ワールドカップ(W杯)を見据えて」。ビッグになろうと思っている人間が、ビッグになれる――。そんな鼻っ柱の強さを存分に発している。