米中貿易協議、次官級で再開
輸入拡大策の詳細を議論
【北京=原田逸策、ワシントン=鳳山太成】米中両国政府による次官級の貿易協議が7日、北京市内で始まった。8日まで開く予定で、2018年12月の米中首脳会談で中国側が提案した1兆2千億ドル(約130兆円)の輸入拡大策の詳細を詰めるのが柱となる。中国の知的財産保護、技術移転の強制など構造問題でも意見を交わす。3月1日の期限までの合意に向け、交渉を前進させられるかが焦点となる。
中国側が提案した輸入拡大額の1兆2千億ドルはモノとサービスをあわせた年間輸入額の4割にあたる規模だ。7日からの米中次官級協議では中国が輸入拡大を実現する時期や品目などが論点となるとみられる。
協議は北京中心部の中国商務省で開いた。首脳会談後では初の直接協議。トランプ米大統領は6日に「中国は合意を望んでいる」と進展に期待を示した。米制裁関税が中国経済に打撃を与えたとして「(中国が米国と)交渉する大きな動機になっている」と語った。
米代表団は米通商代表部のゲリッシュ次席代表が率い、農務省やエネルギー省の幹部も加わった。中国側は王受文商務次官らが参加した。中国側の関係者によると、中国は昨年6月の閣僚級協議で米国産の農産物とエネルギーの輸入を年2千億ドル増やす案を示したという。当時の案を軸に交渉が進むとみられる。
米政府関係者は「トランプ氏は株価対策に躍起になっており、協議の『進展』を訴えることで株価を下支えしようとしている」と話す。中国側の有識者も「米中はお互いの目標と意図をハッキリと認識しており、米中協議がまとまる可能性は上がっている」(魏建国元商務次官)との楽観論を振りまく。米中ともに低迷する株価をにらみ、協議の進展を実態以上に強調する可能性がある。