畑岡奈紗「全米女子OPゴルフで勝ちたい」
2017年に米女子ゴルフツアーへと発進した「NASAロケット」。2年目の18年は出力を一気に上げ、賞金ランク5位(145万4261ドル)、世界ランク7位へとトップ10圏内に突入した。1月13日で20歳になる、目覚ましい急成長を続ける畑岡奈紗に話を聞いた。
■「ショット安定、一番の変化」
――参戦2年目の米ツアーで2勝をマーク。前年の賞金ランク140位から大躍進を遂げた。
「ショットが安定し、たくさんバーディーチャンスにつけることができた。そこが一番変わったところ。フィジカル面でいうと、トーナメント中もトレーニングを続け、下半身が安定。スイングは再現性が高くなってきたと思う。アドレスが一番大事で、アライメント(向き)や体重配分を練習などでチェックしている。右に向きやすく、風が強くなると強い球を打とうとしてどんどん右に。(予選落ちした)全英リコー女子オープンがそうだった。トップ位置も低くなりやすいので、落ちてこないように意識している」
「1年目は無理して、8週連続で試合に出たこともある。月曜日から練習ラウンドして1週間ずーっとゴルフ、ゴルフで、結構疲れた。でもコースがわかったので、昨年は思い切って月曜日は休養に充て、火曜日から練習。うまく休みをとりながらできたと思う。今年はフロリダに拠点を。1週間の休みがあってもなかなか日本には帰れない。週の前半はホテルのプールでぷかぷか浮いたりして少しゴルフから離れたりしたけれど、あまり休めた感じはなかった。米国にベースがあれば、試合が空いたときにゆっくりできるかと。(茨城県の自宅で飼っているトイプードルの愛犬)ステラ(愛称すーちゃん)の動画を見ると、癒やされる」
――初優勝した6月のアーカンソー選手権、プレーオフで敗れた翌週の全米女子プロ選手権の最終日など5回も8アンダーをマークしている。ビッグスコアをたたき出す秘訣は?
「とにかく攻めること。プラス思考で、マイナスなことは考えない。ピン位置がグリーンの端に切られていてもあまり気にしないで、どんどんバーディーを取りにいく。昨年はパットも好調だった(ランク2位)けれど、ショットがいい位置について、パットが確実に決まるときほどいい流れで回れる。守りに入らずピンに集中している」
「米国のグリーンは芝が(ベント、バミューダなど)何種類かあって、タッチの合わせ方が変わってくるけれど、週ごとにうまく対応できた。苦手は(西海岸に多い)ポアナ芝。グリーンがぼこぼこしてくるので、少しタッチを強めに打たないと入ってくれない。グリーンが速いと、まずスピードを合わせ、その後ライン(のイメージ)を描いていく」
――参戦3年目となる19年の課題は?
「昨年は4日間大会で勝てなかった。まず4日間の試合で結果を出したい。全米女子プロなど惜しいところまでいった試合も数試合あるけれど、今年はそれを勝ちにつなげられるようにしたい。3日間大会だと1日いいスコアを出せば有利だが、4日間だとずっとスコアを伸ばさないといけない。メジャーではコースセッティングなど難しい条件になるので、毎日安定したプレーを続けることが大事」
「ドライバーは好きなクラブで、思い切って打てているときはいいけれど、フェアウエーキープ率(72.16%=ランク78位)を見るとよくない。グリーン周りもそうだが、そこが課題かなと思う。やはり、フェアウエーから打つのとラフから打つのとでは、かなり違ってくる。長いクラブになるとどうしてもブレやすいので、体を鍛えて体幹をしっかりさせないと。4日間大会では最後のほうにブレてくるかな。飛距離は平均だと思うので、飛距離を伸ばすよりもまずはショットの精度を上げたい。フェアウエーキープのほうが大事かな。フェアウエーキープ率が上がれば、ラフでボールが止まることもなく、飛距離もだいぶ違ってくると思う」
■「最後まであきらめない」
――粘り強いプレーも目につく。ゴルフでモットーにしていることは?
「『最後まであきらめない』こと。1位にいても何位にいても、最後までゴルフはわからない。1位にいるときは最後まで気を抜かず、下から追い上げる立場であれば、最後まであきらめない」
「我慢強い戦いができるときもあれば、できないときも。自己コントロールには気持ちの面が一番大事。難しい状況では、いつもと違った考え方でプレーしないといけない。セッティングによっては、攻めすぎると大けがにつながる。そこを見分けていかないと」
――世界ランクは7位。トップも見えてきた。19年の目標は?
「2年でここまで来られた。これから上げていくのは大変かもしれないけれど、20年東京五輪もあるし、今年も世界ランクを意識してやりたい。アリヤ・ジュタヌガーン(タイ)みたいに総合的に強くないと1位にはなれないと思う。飛ばしもそうだけれど、彼女の安定感にはパットなどショートゲームのうまさがある。ロッカールームで気持ちよくあいさつしてくれるし、人柄もすごくいい」
「4日間大会だし、ぜひメジャー優勝を果たしたい。全米女子オープン選手権が一番の目標。ナショナルオープンで(冠スポンサーもつかず)唯一、大会名が変わらない。一番歴史もあり、一生、優勝トロフィーに名前が刻まれて残り続ける。開幕戦(17日から、フロリダ)は新規大会で楽しみだけれど、(時期が)ちょっと早い。成績よりも楽しく。緊張感を味わって、試合勘を取り戻したい」
(聞き手は吉良幸雄)