首相「新元号4月1日公表」表明 皇位継承準備に全力
安倍晋三首相は4日、年頭にあたり三重県伊勢市で記者会見した。5月1日の新天皇即位に伴い改める新元号について「国民生活への影響を最小限に抑える観点から、先だって4月1日に発表する」と表明した。4月1日に改元政令を閣議決定し「改元は皇太子さまが即位される5月1日に行う」と述べた。
首相は「歴史的な皇位の継承を国民がこぞってことほぐことができるよう政府として準備に全力を尽くす」と強調した。自民党内の保守派などが5月1日の公表を求めていたが、政令の施行まで1カ月間の猶予をもたせ改元に伴うシステム改修などの準備に万全を期す考えだ。
改元を定める政令に関して「公布は通常の政令制定の手続きに従う」と語った。新元号は4月1日の閣議決定後、今の天皇陛下が署名・押印し、速やかに官報に掲載して公布される。決定から公表、公布に至るまでの手続きは昭和から平成への代替わりを踏襲する。
想定される4月1日の流れは、まず官房長官と内閣法制局長官が首相の指示を受けて新元号の最終候補を複数案に絞る。この原案を学識経験者やマスコミの代表らで構成する有識者懇談会や衆参両院の正副議長に示し、意見を聞く。これを踏まえ全閣僚で協議した後、閣議で新元号を決定する。官房長官が新元号を公表する見通しだ。
今後の焦点は新元号の選定に移る。政府が1979年に閣議報告した選定手続きの要領は「漢字2文字」「書きやすい」「俗用されていない」など6条件を定めた。要領にはないが、新元号のアルファベットの頭文字は混乱を避けるためM(明治)T(大正)S(昭和)H(平成)の4文字を避ける。
政府はこうした事項に留意した上で新元号案を考案するよう複数の有識者に依頼している。候補となる案は官房長官のもとで極秘に検討されており、すでに絞り込み作業を進めている。
政府は皇位継承に向けて改元以外の作業も急ぐ。首相が委員長を務める「式典委員会」の第3回会合を月内に開き、天皇陛下の退位と新天皇の即位に伴う一連の儀式の詳細を詰める。システム改修に向けた関係省庁連絡会議も月内に開く。