タイ総選挙の再延期浮上、国王戴冠式を優先
【バンコク=小谷洋司】軍事政権が続くタイの民政復帰に向けた総選挙の再延期が浮上した。5月初めに予定される国王の戴冠式の関連行事に支障が出ないようにするためで、軍政のウィサヌ副首相が当初予定の2月から延期する可能性に言及。日程の決定権限を持つ選挙管理委員会にも意向を伝えたが、4日には結論は出なかった。
同日付のタイ主要紙は投票日として確実視されてきた2月24日に代わり、3月24日や同31日が候補になったと一斉に報じていた。再延期には世論の反発が避けられず、選管と軍政の意見のやり取りは責任の押しつけ合いの様相も呈している。
タイ王室は1日、ワチラロンコン国王の戴冠式を5月4日に執り行うと発表。ウィサヌ氏によると関連行事は4月半ばから1カ月続く。タイでは王室が極めて重視され、「王室行事は動かせない」(ウィサヌ氏)。
軍政は王室行事を妨げないためには選挙日程の再調整が必要とみている。投票日を3月後半に延ばすと、選管による選挙結果の公表期限も5月末へと約1カ月ずれる。選挙結果の公表待ちとなる政治日程の「空白期間」に、戴冠式の関連行事を挙行する算段だ。
14年5月に当時の民選政権をクーデターで倒して発足した軍政は当初、民政復帰の総選挙を15年後半に実施すると表明していたが、延期を繰り返した。結果として4年を超える異例の長期軍政となっている。