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外国人材受け入れ拡大、国境越え争奪戦

(2019ニュース羅針盤)

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2019年は外国人労働者が増え、働く現場の風景が変わる転機になりそうだ。出入国管理法の改正で外国人労働者の受け入れは拡大する見通し。だが人材獲得競争は国境を越える。日本が魅力を高める施策も欠かせない。

◆5年で最大34万人受け入れ、企業は定着に期待

2018年12月に成立した改正入管法が今年4月に施行される。農業や介護、造船など14業種の仕事が外国人に門戸が開かれる。技能実習生は実習修了後、最長5年間の就労が可能になる。対象14業種では5年後に合計で145万人の労働力が不足すると予想され、外国人労働者の力無しではビジネスを持続できないのが実態だ。企業は法改正を歓迎するが受け入れに課題も多い。

在留資格は「特定技能1号」と「特定技能2号」がある。実習生らはまず比較的簡単な作業を担う1号となる。在留期間は通算5年間。家族の帯同も認められない。

造船や建設で導入が検討されているのが2号だ。1号での労働を経て高度な技能試験に合格すると与えられ、現場監督など熟練した仕事に就ける。家族の帯同が可能になり在留資格の更新回数にも制限がなくなる。

現在、造船業では家族を母国に置いて働く東南アジア出身の実習生らが多いが、数年で帰国し技術の伝承につながらない。企業は2号の資格をとった人材の定着に期待を寄せる。ただ導入は数年見送られ、政府が1号の運用状況をみて判断する。企業側には"即効薬"とはならないもどかしさが残る。

法改正後、19年度に最大4万7550人の受け入れが見込まれる。実際はその6割がすでに働いている技能実習生からの移行だ。さらに5年間で最大で34万人を受け入れる計画で、最多は介護分野で6万人、以下に外食、建設、農業が続く。

日本は約26万人の実習生がいるとされる技能実習制度や、経済連携協定(EPA)に基づく介護職の受け入れで何とか人手不足を補ってきた。現場の実態はどうか。

日本がEPAに基づき、フィリピンの人材を受け入れ始めたのが09年。福岡県朝倉市の介護老人保健施設「ラ・パス」は10年からほぼ毎年、2人ずつ受け入れてきた。

フィリピン人職員も担当の高齢者を持ち夜勤にも入る。働いて2年になるソルマリーさん(30)は「仕事は大変だけど、楽しく働けている」と話す。彼女たちは約3年間、働きながら介護福祉士の資格取得に向けて学び、施設側は試験対策などで支援する。合格すれば日本で働き続けることも可能だ。

これまで受験した8人は全員合格し、4人はラ・パスなどを運営する社会福祉法人・寿泉会の施設で働く。稲葉圭治統括本部長は「(彼女たちに)長く働いてもらいたい。人材の奪い合いで選ばれる国にならないといけない」と語る。企業は外国人との共生に向け、強い危機感で対策に取り組む。

(加藤宏一、朝田賢治、高尾泰朗)

◆プロの読み 明治大学国際日本学部教授 山脇啓造氏

社会の一員として支援 基本法や医療整備を

技能実習生や留学生はすでに労働者として国内の様々な職場で働いている。(実習生の失踪など)様々な問題が起きており、正面から労働者として受け入れるのは一歩前進だ。ただ、受け入れには出入国管理政策に加え、日本社会の一員として支援していく社会統合政策も必要だ。いわば車の両輪だが、今は前者に偏りすぎている。

外国人が日本で暮らしていく上で国や地方自治体、市民団体が一体となって共生を進めていくための基本法が必要だ。男女共同参画や高齢者、障害者政策にはそれぞれ基本法があるが、外国人にはない。外国人が多い一部自治体は熱心に取り組むだろうが、地域ごとにばらつくのは望ましくない。

受け入れの喫緊の課題は医療だ。特に医療通訳の問題は大きい。外国人労働者の多い自治体ではすでに独自の制度を設けているが、安い料金で通訳を担ってもらっている。国として受け入れるなら、必要な時に医療を受けられる全国的な体制を整えるべきだ。

市民の啓発も大事。法務省が17年に日本に住む外国人を対象にした調査では、日本人の保証人がいないことを理由に入居を断られた経験がある人は約4割もいた。私のゼミ学生が東京都中野区の不動産会社に聞き取りしたところ、大家の8~9割は(外国人は)ダメだという。

政府は5年間で34万人を受け入れる方針だ。厚生労働省の統計によると、17年10月時点の外国人労働者は約128万人と1年前に比べ20万人近く増えた。法改正前からこれだけ増えており34万人は驚くべき数字ではない。ただし受け入れ体制を整備しないまま相当数が入ってくるのはリスクが高い。法施行後に走りながら修正すればいいという意見もあるが、それでは問題が生じる可能性は高い。

外国人の受け入れが低賃金労働者として進むのなら日本人の賃金にも悪い影響を与えることになるだろう。受け入れる以上は同一労働同一賃金を前提に日本と同等の雇用条件を確保することに注力する必要がある。

日本と同じ人手不足に直面する韓国は04年に雇用許可制に切り替え、4年10カ月の期限つきで外国人労働者の受け入れを始めた。ただ不法滞在は一時減ったが、最近はもっと残りたいと考え失踪する人が増えているという。ローテーション型は限界がある。

働き盛りの人が来日するわけだから家族が帯同できない在留資格だけでは大変。今後も一定数の外国人労働者は必要になると思うし、定住に向けた議論は必要だ。

外国人は行き先で歓迎される国に行きたいと思う。だから環境の整備は欠かせない。外国人にとっても日本は暮らしやすいという声はある。5年後を見据えて様々な選択肢を用意した方が仕事のモチベーションにもつながる。

◆デスクの補助線 企業報道部次長 加藤貴行
働きやすさで選ばれる国へ
 外国人労働者を求めるのは日本だけではない。韓国は人手不足の造船などの業界で単純労働に門戸を開き、台湾も介護や製造業を中心に受け入れを拡大。一方、人材を供給する側だった東南アジア諸国も21世紀半ばに労働力が不足するとみられる。アジア域内の労働者の流れは大きく変わりそうだ。
 いかに日本の魅力を高めるか。先達であるドイツは移民受け入れで苦悩を抱えながら、産業界自ら職場改革に工夫を凝らす。
 「技術は最終的にヒトを幸せにするためにある。従業員の働き方、社会のあり方を変える革命だ」。ドイツ工学アカデミーのヘニング・カガーマン評議会議長は自ら提唱した同国の製造業革新活動「インダストリー4.0」をこう例える。同国は600時間のドイツ語コースと法律・文化を教えるコースを提供しソフト面の充実で知られるが、先端技術を使い働く場も変えている。ボッシュのモデル工場では20以上の言語から選べるモニターで熟練度に沿った作業指示が出る。移民も働きやすい。
 日本でも工場や売り場でロボットや人工知能(AI)の活用が広がるが、人が関与する場面は残る。例えば「先端技術と共存した、負担が少ない働き方を体験できる国」を対外的に訴えてみてもいい。法整備や賃金など労働条件以外にも、民間の創意工夫で働きやすい魅力ある職場づくりで競うことも必要だ。

〔1月1日付日本経済新聞朝刊〕

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