県外就職でも地元貢献を 高松市で働き方報告会
起業を通じ、香川での多様な働き方を探るプロジェクトの報告会が高松市で開かれた。香川のイベント、事業を掲載するサイトの立ち上げや民泊が提案された。就職などで県外に人口が流出するなか、起業や兼業に加えて、県外で働いていても地元に関われる方法を若者が模索している。
「高松市をチャレンジャーであふれる街にしたい」。発表前の張り詰めた空気が和らいだ中で、地元への思いが報告者から語られた。生まれ育った香川に関わりたいとは思いつつも、移住・転職するしか選択肢がなく、なかなか踏み切れないのが現状だ。
高松市は文化芸術・産業において創造性のある街づくりを推進するため、2012年から「高松市創造都市推進懇談会」を設置している。市内で活躍する40歳以下の経営者や市の若手職員で構成され、4つの事業について活動している。
報告会の「仕事プロジェクト事業」はその1つで、四国の魅力発信に取り組む一般社団法人、四国若者会議(高松市)で代表理事の瑞田信仁氏がリーダーを務める。
東京で働いた後、地元香川にUターンしてきた瑞田氏は「何かをやりたい」という個人の意欲が大切だと考え、そのやる気を社会的な課題の解決や意義につなげていく必要があると感じている。
報告会で提案された事業の1つが、香川のプロジェクトをまとめて掲載したサイトの設営。プロジェクトごとに資金の支援、参加、手伝いなど個々人が関わり方を選択することができる。香川でどんなイベントやプロジェクトが開催されているのかまとめて掲載されているサイトはなかったという。
報告者の1人は「香川に住んでいなくても、何か地元に関わりたいと思っている人たちの声に応えられる」とサイト設営の狙いを語った。
もう一つの事業案は民泊で、医師として働く男性が進路について悩んだ経験から「あいまいな対話」ができる場を設ける。自分に何ができて何をしたいのか、漠然としている人が集い話し合える場にしたいという。19年の1月に完成予定だという。
両事業とも運営や収益面の確保が今後の課題で、引き続き参加者で計画を立てて実行に移していく。
「仕事プロジェクト」には香川県内外に住む若者、20~40代の10人が参加した。10月上旬に3日間の合宿を行った後、それぞれ住む場所が異なるなか議論を進めてきた。仕事との両立が難しく、忙しさからやむを得ず参加人数が減ってしまった。
瑞田氏は「起業する人の背中を押す、責任の重さも感じる」と述べる。高松市で挑戦する心理的なハードルを下げるべく、若い力が胎動している。(高松支局 桜木浩己)