韓国、民間人を不正監視か 検察が大統領府を家宅捜索
【ソウル=鈴木壮太郎】韓国検察は26日、大統領府が本来の権限を越えて民間人を監視していた疑いで大統領府を家宅捜索した。保守系野党「自由韓国党」が大統領府幹部を職権乱用で検察に告発したことを受けた。野党はこの疑惑をテコに文在寅(ムン・ジェイン)政権を揺さぶる狙いで、与野党の攻防が激化しそうだ。
疑惑は大統領府民情首席秘書官室で公務員の汚職などを監視する特別監察班の元職員が韓国メディアに告発して明らかになった。元職員は文氏側近である駐ロシア大使の金品授受疑惑を報告したところ黙殺され、捜査官を辞めさせられたと主張。特別監察班の捜査は元首相の子息や銀行幹部など、本来は業務として認められていない民間人の動向も含まれていたと暴露した。
大統領府は元職員の個人的な「越権行為」と反論して組織的な関与を否定。19日に元職員を公務上の機密漏洩の疑いで検察に告発した。
一方、自由韓国党は20日、大統領府の任鍾晰(イム・ジョンソク)大統領秘書室長、曺国(チョ・グク)民情首席秘書官ら4人を職権乱用の疑いで検察に告発した。
自由韓国党は政経癒着疑惑で弾劾され、有罪判決を受けた朴槿恵(パク・クネ)前大統領時代の政権与党。文政権になり「積弊(積み重なった弊害)清算」の対象とみなされ支持率は低迷している。
民間人の不正監視が事実なら文政権も「積弊」行為に手を染めていたことになり、格好の攻撃材料になる。自由韓国党など野党は疑惑究明のため任氏と曺氏の国会招致を要求。大統領府は対応に苦慮している。