84歳の裕次郎「粋な別れ」 西洋史家 本村凌二
絵心のある人は細部の観察力にすぐれている。そのデフォルメされた風景画がダリの作品だと言っても誰も疑わないだろう。こよなくダリを愛した少年の絵画であり、どこか物事をつき放したようなタッチが印象的だ。中原中也の詩「骨」も俳優本人の希望で曲がつけられ、彼自身が唄(うた)ったシャンソン風の名歌である。やはりどこか自分をつき放したまなざしが心に残る。
この少年・俳優とは昭和の末に52歳で世を去った石原裕次...
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