愛知県でも豚コレラ感染確認 犬山市の野生イノシシ
愛知県は22日、同県犬山市の山中で見つかった野生イノシシ1頭が豚コレラに感染していたと発表した。岐阜県で広がる豚コレラの感染が隣県で確認されたのは初めて。愛知県は周辺の野生イノシシの捕獲調査を進めるなどして、感染拡大の防止策を強化する。
県畜産課によると、岐阜県境から約5キロの山中で地元の猟友会が19日、わなにかかっているイノシシを捕獲した。21日の愛知県の遺伝子検査で陽性反応があり、国の機関の検査で22日に陽性が確定した。ウイルスの型は岐阜で確認されているものと同じだった。
愛知県内で豚コレラの感染が確認されたのは1980年以来。県は犬山市の捕獲場所から半径10キロ以内にある養豚場など3カ所に立ち入り検査を実施したが、現時点で異常は見つかっていない。
岐阜での感染拡大を受け、愛知県は犬山市や小牧市、春日井市でイノシシの狩猟を禁止し、猟友会と協力して捕獲調査をしていた。今後、名古屋市守山区と瀬戸市にも狩猟の規制範囲を広げることを検討する。25日には畜産団体や関係機関を集めた対策会議を開き、飼育施設での消毒の徹底などを呼び掛ける。
岐阜では9月に国内で26年ぶりとなる豚への感染が確認された。県畜産研究所(美濃加茂市)など5施設で豚コレラが発生し、これまでに野生イノシシ約80頭への感染も判明した。犬山市の捕獲場所から7~8キロ離れた岐阜県可児市の山中でも感染したイノシシが見つかっている。
22日に記者会見した愛知県の岡地啓之畜産課長は「感染したイノシシが1頭だけとは考えにくい」と説明。「野生のイノシシは行動範囲が広く感染防止は難しいが、国の指示も受けながら対策を検討したい」と話した。
豚コレラは豚やイノシシの感染症で、人や鳥は感染しない。農林水産省の検討会は野生イノシシから養豚場に感染が広がったとする見解をまとめている。21日に開かれた岐阜県の対策会議には同省の小里泰弘副大臣も出席し、感染拡大の防止策を話し合った。