福島・大熊町がバイオマス発電 帰還困難区域で
福島県大熊町は東京電力福島第1原子力発電所事故による帰還困難区域で栽培した植物を使ったバイオマス発電を2022年度にも始める。同町は22年春までに帰還困難区域の避難指示を解除することを目指しており、発電を農地の活用と産業振興につなげる。
帰還困難区域に整備中の特定復興再生拠点区域(復興拠点)内の除染した農地でイネ科の植物を栽培。植物を発酵させ、発生したメタンガスで発電する。まず120ヘクタールを目標に農地を確保し、将来は安定的な採算が見込める150ヘクタール以上に増やす計画だ。
発電した電力は販売し、熱は農作物の栽培や温浴施設での活用を検討している。現在、全町避難が続く大熊町では、農地を何らかの方法で活用・管理し、将来の営農再開につなげることが課題になっており、発電のための植物栽培を農地保全の柱とする考え。町によると、発電のためだけに作物を育てることは国内では珍しい。
こうした事業方針は、町や学識経験者などによる事業実現可能性検討委員会がまとめ、年明けにも渡辺利綱町長に報告書を提出する。
復興拠点内の農地所有者443人を対象にしたアンケート(11日時点で回答率35%)では、9割以上がエネルギー利用に伴う作物の栽培に同意。営農再開の意向を示したのは1割未満だった。
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