米アルトリア、電子たばこ最大手に1兆4千億円出資
【ニューヨーク=平野麻理子】米たばこ大手アルトリア・グループが電子たばこ最大手ジュール・ラブズの株式35%を取得することが19日わかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が同日昼に報じた。株式の取得金額は128億ドル(約1兆4336億円)にのぼる見通し。米国では紙巻きたばこの代替品として電子たばこ市場が急成長している。
報道によると、週内にも正式発表される。米銀ウェルズ・ファーゴの推計では、ジュールの年間売上高は約20億ドル。今回の株式取得価格から算定するジュールの企業価値は380億ドル程度で、同じく未上場の民泊仲介最大手の米エアビーアンドビーや、配車サービス大手の米リフトを上回る水準だ。
電子たばこはニコチンが溶けた液体を加熱して吸って楽しむ。「マンゴー」など味つきの液体ニコチンが人気だ。日本では専用機器で葉たばこを加熱して発生する蒸気を吸う加熱式たばこが普及しているが、ニコチンを含む液体式の電子たばこは薬事法に基づく承認を受けていない。
ジュールが製造する「JUUL」のシェアは今夏時点で7割程度とされる。健康志向の高まりで紙巻きたばこの需要が減る中、「マールボロ」で知られるアルトリアは成長分野への大型投資が必要と判断したもようだ。
電子たばこはコンビニなどで簡単に手に入るため、米国では未成年の間で大流行し、社会問題になっている。米食品医薬品局(FDA)は電子たばこの規制強化を検討しており、ジュールの先行きには不透明感もある。