100兆円予算は常態化? 3つのポイント
政府は21日午前、2019年度予算案を閣議決定します。一般会計の歳出総額は18年度より4兆円近く多い約101兆4600億円と7年連続で過去最大を更新。消費増税対策や幼児教育の無償化などで一気に膨らみます。足元の景気拡大で税収は過去最高を見込みますが、借金頼みの財政運営は変わりません。歳出改革の機運は乏しく「100兆円予算」が常態化する可能性もあります。
(1)消費増税へ臨時対策に2兆円
歳出が膨らむ最大の要因は19年10月の消費増税に備えた対策です。2兆円をかけます。消費の落ち込みを防ぐため、キャッシュレス決済をする人へのポイント還元分として2798億円、2歳以下の子どもがいる世帯と低所得層向けのプレミアム付き商品券に約1700億円、防災・減災対策に1兆3475億円を使います。20年度予算案でも対策を打ちます。
(2)教育無償化など恒久措置も
安倍政権が掲げる「全世代型の社会保障制度」に向けた恒久措置も歳出膨張の背景にあります。消費増税による増収分を使い、教育無償化や社会保障の充実に国費で7157億円を充てます。19年度予算案では増税対策を除く歳出総額は約99兆4300億円。今後の社会保障費の増加を考えれば、100兆円予算が続く事態も予想されます。
(3)出口見えぬ借金漬け
歳出を裏付ける歳入は税収が18年度当初比で約3兆円余り多い約62兆5000億円を見込みます。赤字を埋める新規国債の発行額は9年連続で減ります。公共事業の増加で建設国債が増える一方、赤字国債は減らすことになりますが、一時的な財源探しで増税対策の歳出膨張を手当てしたにすぎず、財政規律を維持したとは言いがたいのが実態です。