児童虐待、児相職員2900人増 全市町村には支援拠点
東京都目黒区で両親から虐待されて女児(当時5)が死亡した事件を受け、政府は18日、関係省庁による連絡会議を開き、児童相談所の体制強化などを盛り込んだ児童虐待防止プランを取りまとめた。人手不足が深刻な児童福祉司などの専門職員を2022年度までに約2900人増員することを目指すほか、子育ての悩みなどの相談に応じる支援拠点を全市町村に設ける。
プランでは、全国の児相に児童福祉司を約2020人、児童心理司を約790人、保健師を約70人増やす目標を盛り込んだ。達成した場合、現時点の職員数と合わせて計約7620人となる。
児相の体制強化に併せ、医師や社会福祉士などが子育てに悩む保護者の相談などに応じる「子ども家庭総合支援拠点」も全市町村に設ける。同拠点は虐待の情報収集や、児相や医療機関との連絡などの調整業務も担い、16年の児童福祉法改正で市町村と東京23区の努力義務となった。ただ18年2月時点で全国106市町村114カ所の設置にとどまっており、今後、財政面で自治体を支援して整備を促す。
3月の目黒区での事件を受け、政府は7月、虐待の対応にあたる児童福祉司の増員を柱とする緊急対策を決定。増員する児相の職員数や市町村の相談体制強化など具体的な対策の内容について検討を進め、年内にまとめる方針を示していた。
18日の連絡会議には、警察庁や文部科学省の担当者も出席し、根本匠厚生労働相は「児相、市町村両方の体制を強化し、地域社会全体で子どもの命を守りたい」と述べた。
厚労省の集計によると、全国の児相が17年度に相談や通告を受けて対応した児童虐待の件数は約13万件で、過去最多を更新した。児童虐待に対する社会的な認識の高まりなどから1990年度の集計開始から27年連続で増加している。