ベトナム不動産のビングループ スマホ事業に参入
業界最安値で攻勢
【ハノイ=大西智也】ベトナム不動産最大手のビングループは15日、自社が製造したスマートフォン(スマホ)の販売を始める。4種類のうち最も安いスマホの価格は、業界最安値の1台あたり249万ドン(約1万2500円)に設定した。2019年には自動車の生産・販売も開始する方針で、事業の多角化をいっそう進める。
スマホのブランド名は「Vスマート」。スペインのスマホ製造企業、BQ社と提携した。北部の港湾都市ハイフォンの工業団地で10月から、子会社のビンスマートが生産を開始した。年産能力は約500万台。19年には10種類以上のスマホを販売する計画だ。
今回発売する4種類は5~6型液晶を採用。最安値の「Joy1」は、保存容量が32ギガバイト。最も価格が高いのは64ギガバイトの「Active+」で629万ドン。ビングループによると、国内で販売する同機能のスマホの中で最も安い水準という。
ホーチミンで会見した同社のグエン・ベト・クアン副会長は「皆様の応援で高い品質の国産スマホができあがった。これから高いシェアを獲得していきたい」と話した。国内に次ぎ、北米や欧州などに輸出する方針を明らかにした。
ベトナムのスマホ市場は韓国サムスン電子が約4割のシェアを持つ。中国大手のOPPO(オッポ)など中国勢もシェアを伸ばしている。ベトナム勢ではソフト大手のBkavコーポレーションが15年に初の国産スマホ販売を始め、18年にも新モデルを発売している。
ビングループは01年にリゾート不動産会社として創業し、教育や小売り、病院事業などに事業を広げてきた。18年11月には初の国産電動バイクを発売。19年にガソリン自動車や電気自動車の販売を始める計画だ。
ベトナムの携帯電話の契約数は人口(約9500万人)をやや上回る約1億2千万件。飽和状態にあるスマホ市場でビングループが知名度を生かし、どこまで販売を伸ばせるか注目される。
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