九州沖縄の製造業「米中摩擦の影響」12月景況感悪化
日銀短観、全体は1ポイント改善
日銀福岡支店が14日発表した12月の九州・沖縄企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が全産業でプラス18と前回調査から1ポイント改善した。ただ製造業は主力3業種がいずれも悪化。米中の貿易摩擦が企業活動に影を落としていることが初めて確認された。
製造業のDIは2ポイント悪化のプラス13だった。悪化は2期連続。主力3業種では電気機械が8ポイント悪化した。米中摩擦や半導体市況の悪化を受け、部品の受注減や在庫調整が長期化した。電気機械で収益見通しを下方修正する動きもあった。
はん用・生産用・業務用機械で投資先送り、輸送用機械は造船市況低迷からいずれも小幅にDIが悪化。宮下俊郎・福岡支店長は「米中摩擦が実際の企業活動に影響を及ぼしていることが初めて確認された」と述べた。
梅田秀彦・北九州支店長は「米中など通商交渉の不透明感やスマホ向け半導体の在庫調整の影響が表れたが、高水準での低下。半導体市場の底割れを見込む企業もない」とした。
熊本地区の製造業DIは横ばい。電気機械中心にグローバル需要の一部で減少が続いているが、金属製品など建設関連の受注が増えた。非製造業DIは7ポイント悪化。個人消費の一時的な減少の影響が出た。倉本勝也・熊本支店長は「改善のテンポが緩み、踊り場に入っている」とみる。
全体の非製造業は2ポイント改善のプラス20。天候不順や災害の影響が剥落した宿泊・飲食サービスが改善したが、人件費などコスト上昇も見られた。
沖縄地区は県内企業の大半を占める非製造業が1ポイント高いプラス36。人件費上昇で卸売り、サービスが悪化したが、飲食店・宿泊は好調な観光需要で改善した。製造業は12ポイント低いプラス20だった。
九州・沖縄の3カ月後の業況判断DIの先行きは全産業で3ポイント悪化のプラス15。宮下支店長は「九州・沖縄経済は好調で企業の景況感も良好だ」としている。
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