ホテル経営分析の空、AI料金設定ツール刷新
ホテル経営分析サービスの空(東京・千代田)は、イベントの開催状況などを踏まえホテル料金を変える人工知能(AI)ツール「マジックプライス」を刷新する。市場分析ツール「ホテル番付」を2019年2月に統合。1日ごとの予約状況などを詳細に示すページを設け、AIが提案する客室料金の設定根拠をわかりやすくする。
「ホテル従業員は複雑で属人化している価格設定業務が簡単になる」。空の松村大貴社長はリニューアルする料金設定ツールの導入メリットをこう説明する。ツールの新名称は「マジックプライススタンダードプラン」。同サービスでは日別詳細ページを設け、ある1日のホテル予約状況がどう足元で変化しているかを確認できる。これまで一覧表示していたイベントについても日付ごとに閲覧可能だ。競合ホテルが販売する客室料金も一目で分かる。
マジックプライスはAIが1年間分の客室料金を提案する仕組みだ。ホテル側が予定している価格から、変更の必要な日時を色分けして見やすくした。宿泊料金を変更すると、ホテルのサイトだけでなく旅行予約サイトの価格も切り替わる。
既に利用を決めたホテルからは、経験の浅いスタッフでも料金設定ができるとの評価を受けたという。
ホテル番付の機能を盛り込んだことで、料金も従来の2倍以上に引き上げる。初期費用が30万円かかる。8万円の基本料金に加え、200室までは1室当たり200円、201室目からは100円の費用が毎月必要になる。200室のホテルの場合で、月12万円だ。
新サービスは13日からサイト上で申し込みを受け付ける。19年2月からサービスを開始する。日本国内にあるホテルや旅館が対象になる。
統合する市場分析ツール「ホテル番付」だけを利用したいホテル向けに、同サービスは継続する。19年2月から名称は「マジックプライスライトプラン」に変更する。同サービスは競合ホテルの価格や予約状況といった情報収集や機械学習による客室料金の引き上げタイミングを提案する。
ホテル業界向けサービスから、他業界にも展開することを前提に切り替えに踏みきった。松村社長は「ツアーや交通などホテル以外の旅行業界では需要があるほか、親和性が高い」とみる。
空は15年に設立した。大和企業投資や日本政策金融公庫、マネックスベンチャーズなどが出資する。
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