政府のデータ活用規制、FB日本代表「全面協力したい」
米フェイスブック(FB)の日本法人の長谷川晋代表取締役は12日に記者会見し、政府によるプラットフォーマー規制の取り組みについて「全面協力し討議を重ねていきたい」と語った。2018年は度重なる情報流出に揺れたFBだが、長谷川代表は「それぞれの課題と機会に真正面から向き合っていきたい」と強調した。
政府の有識者委員会はフェイスブックを含む米ネット大手に聞き取りをし、このほど最終報告案をまとめた。個人情報などのビッグデータを扱うプラットフォーマーを監視する専門組織を設ける方針で、データ寡占へ厳しく対処する。FBはヒアリングには出席しなかったが、事前の質問に対し文書で回答した。
FBでは今春、英コンサルティング会社経由で最大8700万人の個人情報流出が発覚したほか、9月末には日本人を含む2900万人分の個人情報がサイバー犯罪者に盗み見された問題が起きた。長谷川氏は「広い範囲で責任を負っていることを感じ、教訓から改善のために取り組んだ」と説明。機能改善などについて振り返った。
問題の一方で、日本でのFBやインスタグラムの事業は順調に拡大。インスタグラムの国内の月間利用者数(MAU)はこの1年間で900万人増え、9月に2900万人を突破した。24時間で投稿した動画や写真が消える「ストーリーズ機能」の日本での利用はインスタの1日当たり利用者の70%と世界でもトップレベルだった。
長谷川氏は今後、地域活性化事業にも力を入れる方針を示した。19年1月25日には山口県下関市とSNS(交流サイト)を使った地域経済の活性化で連携協定を結ぶ。7月の神戸市との連携に続き、FBやインスタを観光資源の発信や訪日客との接点作りに活用する。電話会議で参加した下関市の前田晋太郎市長は「官民ともに発信力が弱く、FBは課題解決のための有り難い存在」と期待を寄せた。