保釈の孟副会長、紅いエリート、党は奪還に躍起
【深圳=多部田俊輔】カナダで11日に保釈が決まり、拘束が解かれた華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)は「紅(あか)いエリート」と呼ばれる。母方の祖父が中国共産党幹部だからだ。祖父の人脈が同社の急成長を支えたとされ、習近平(シー・ジンピン)最高指導部も党のメンツをかけて奪還に躍起となった。
孟氏は中国の無料対話アプリの微信(ウィーチャット)を通じ「バンクーバーの家族の元に戻った。ファーウェイと祖国を誇りに思う」と表明した。中国メディアなどが報じた。孟氏はカナダなどに抗議した中国政府に謝意を示した。
孟氏の祖父は1938年に入党し、建国に貢献した孟東波・四川省副省長。周恩来氏の政治秘書や四川省トップを務めた楊超氏と親しく、同氏を含めファーウェイ創業者、任正非・最高経営責任者(CEO)と家族ぐるみのつきあいだった。
関係者によると、楊氏は周恩来氏に加え、鄧小平氏や趙紫陽氏ら歴代指導者とも近く、ファーウェイ成長の背景となった。任CEOは孟副会長の母と離婚したが、「党として孟CFOを取り戻そうと懸命だった」と地方政府幹部は漏らす。
孟氏は72年生まれ。国有銀行を経てファーウェイに入り、秘書を務める。大学院で会計学を修めた後に財務畑を歩み、2011年からCFO。18年3月に副会長を兼ね、任CEOの後継者と目されるようになった。
前夫との間に子供3人、現在の夫との間に米国留学中の子供1人がいる。夫はカナダに住み、夫婦で重慶のインターナショナルスクールの運営などに携わっているとされる。保釈に際し、カナダに家2軒を持ち、その価値は2千万カナダドル(約17億円)を超えることが明らかになった。