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凸凹は個性 街の魅力に 江弘毅さん(もっと関西)

私のかんさい 編集者

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■関西で高い人気を誇るタウン誌「ミーツ・リージョナル」(京阪神エルマガジン社)の創刊に関わった元編集長、江弘毅さん(60)。大阪を拠点に様々な書籍を編集する傍ら、エッセー「街場の大阪論」など関西の文化を「街」の視点から語る文章は多くの読者から支持を得ている。

岸和田の商店街にある洋装店の家に生まれた。大学で神戸に出るまで、だんじり祭を中心に1年が回る岸和田の暦で育った。

岸和田は一言で言えばいろんな人がいる街。学校では私のように商売をしている家、漁師、職人、男稼業の家の子もいて、アホなやつやお調子者がひしめいていた。出自も生業も人柄も様々な人たちが、その違う姿のままで折り合いをつけながら暮らしている。

男たちが命をかけるだんじりひとつ取っても、隣町ではやり方が全然違う。街の面白さはこうした人や街の姿の違いが生み出していくのだという感覚が岸和田で自然に身についた。

■雑誌「ミーツ」はそんな「街場」の感覚を重視し、人気を集めた。

創刊時から大事にしたのはお店と地元の人たちがどう付き合っているか。街の面白さは地元の人がつくるから、街と店の魅力は切り離せない。「マグロは大間産」「店主は名門料亭の出身」といった情報では伝わらない。だから、京都の特集なら京都の人が京都弁で会議してつくるのが一番。

関西の街に共通する魅力は凸凹しているところ。大手デベロッパーがつくった画一的な空間がのっぺりと広がるのではなく1本のストリート、エリアごとに違いがあって旅行者やよそ者でもすぐにそれがわかる。

アジアからの訪日客は関西に懐かしさや居心地のよさを感じるようだ。急速に都市化が進むなかで、関西は凸凹した街の魅力を比較的保てているのではないか。

■近著「K氏の大阪弁ブンガク論」(ミシマ社)では大阪弁を切り口に日本文学の名作を分析した。

谷崎潤一郎や司馬遼太郎、山崎豊子、町田康、和田竜など古今の人気作家が駆使する大阪弁について考えた。大阪弁の特徴は喜怒哀楽の表現の豊かさ、本で書いた言葉をそのまま使うなら「(合理的に物事を伝えようとする)標準語からはみでるなにかが過剰にあるのが大阪弁」だと思う。

結論よりもコミュニケーション自体が目的になっていて、ボケとツッコミが特有のノリを生み、時には真っすぐ結論に向かわずに話がずれていく。そんな大阪弁を通すとコミュニケーション至上主義とも言える大阪、関西文化の特徴が浮かびあがってくる。

飲食店を例にとると、カウンターで客と料理人が向かい合う割烹(かっぽう)の形式は大阪が発祥とされる。これはコミュニケーションの上に料理がのっているようなもの。今年亡くなったフランス料理の巨匠ジョエル・ロブションも自身の店に取り入れていた。

■万博誘致が決まり、大阪の街にも変化の兆しがある。

岸和田だんじり祭の責任者などをやっていると、人は迷惑を掛け合いながら生きるものだと感じる。それでも、大阪弁を通じてコミュニケーションを取って支え合いながら生きている。

古き良き人情を善、資本主義的な合理性を悪と対立させて批判しているわけではない。私だって北新地で飲むのは好きだし、消費の享楽は大事な街の魅力だ。

ただ、街は消費の場である一方、生活の場でもある。昼から酒を飲んでいたり、暇をもてあましていたり、生産性や経済合理性といった原理からは遠くにいる人たちもいられるような余白が必要だ。これは街を考えるうえで最低限必要な「良識」で、そこを見落とせば街は面白くなくなる。

だからカジノ誘致を含め「もうけ話」以上の目的が見えない万博には反対だ。万博が経済活性化につながるというのは幻想だと思うし、経済合理性だけを基準に街を壊してほしくない。

(聞き手は大阪・文化担当 佐藤洋輔)

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