世界で昨季までほぼ無名 総合力を身に付けて開花
シニアデビューの今季、女子で大技のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を武器に国際大会で4戦4勝となった紀平梨花選手(関大KFSC)は、昨季までのジュニア時代は主要国際大会で無冠だった。世界ジュニア選手権では8位に沈んで表彰台にも届かず、国際スケート連盟関係者が「世界では(GPシリーズで初出場優勝した)11月のNHK杯まではほぼ無名だった」と明かす。
中学1年で3回転半を練習で成功させ、国内のコーチ陣からは天才少女と注目されたが、浜田美栄コーチは「最初に跳ぶ大技に意識がいく分、失敗した場合の立て直しなどに対応できなかった」と精神面で未熟な部分があったという。「3回転半だけがあなたの良さじゃない」と諭し、海外からコーチを招いて柔軟性を生かしたスピンやステップを磨き、総合力で戦えるすべを身に付けさせたことが花開いた。
紀平選手は8日のフリーでは3回転半で最初に失敗したが、次に成功してリズムを取り戻し「ミスをしても他の部分でも評価してもらえたのがうれしい」と誇った。3回転半の先駆者で1992年アルベールビル冬季五輪銀メダルの伊藤みどりさんは「長い目で見た基礎づくりが評価され、3回転半の精度を高めてきたこととシニアデビュー(のタイミング)が合致している」と指摘した。〔共同〕