サウジ、原油減産でOPEC結束に奔走
価格支配力、ロシア依存浮き彫り
【ウィーン=飛田雅則】石油輸出国機構(OPEC)は7日、ウィーンの本部で開いた会合でロシアなど非加盟国と2019年1月から半年間、日量120万バレル減産することで合意した。合意の決め手となったのはサウジアラビアの奔走だ。直前にカタールのOPEC離脱表明による動揺が広がるなか、原油安に歯止めをかけるため結束を図った。シェア低下に直面するOPECは価格支配力を高めるため、ロシアへの依存も鮮明となった。
サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は7日の記者会見で「交渉は簡単ではなかった」と、数日間の関係国との調整を振り返った。OPEC内では米国による制裁や政情不安などで生産量が落ち込んでいたイランやベネズエラ、リビアが減産の例外扱いを求めたことで話し合いは難航した。
6日の総会直前にカタールがOPECから脱退を表明。OPEC設立の翌1961年からの古参の加盟国が抜けることの影響は大きい。今回の減産をめぐる協議で合意が不成立となれば、シェア低下に直面するOPECの求心力は一段と弱まる恐れがあった。サウジは加盟国にイランなど3カ国に減産の免除を認めることを働きかけ、産油国間の結束が瓦解することを防いだ。
OPECが17年1月から減産で協力を続けてきた非加盟国のロシアは今回、大規模な減産に難色を示していた。サウジのファリハ氏は「ロシアがどの程度減らせるかが焦点だ」と述べ、原油価格の引き上げにはロシアとの協力が不可欠との認識を示していた。
OPECがロシアの協力を仰ぐのは、価格支配力にかげりがみられるからだ。1970年代のピークに50%強あった世界の産油量に占めるOPECのシェアは35%程度に低下した。天然ガスや太陽光などエネルギーの転換が急速に進む。米国のシェールオイルもシェア低下の原因でもある。
OPECは日量1100万バレル超のロシアと協力態勢をとることで、原油市場におけるシェアは50%弱に膨らみ、影響力を高めることが可能となる。ロイター通信によると、今回、ロシアから日量20万バレル強の減産を引き出すことに成功。OPECはロシアなど非加盟国との協力枠組みを今後も続ける方針を確認した。
関連企業・業界