ネット金融業者に処分勧告 架空の事業で資金募る 監視委 制度改正求める
証券取引等監視委員会は7日、ネット経由で融資を仲介するソーシャルレンディング業者のエーアイトラスト(東京・港)を行政処分するよう金融庁に勧告した。実在しない架空の事業で投資を募るなど金融商品取引法に違反する虚偽表示があったという。
ソーシャルレンディングはネット上で事業の概要や利回りを公表し、投資家から資金を募る。監視委によると、エーアイトラストは復興庁や環境省が関わる原発事故の除染事業に資金を貸し付けるとしていたが、実際には事業そのものが存在しなかった。別の事業でも実在しない業務提携計画といった虚偽表示が確認されたという。2つの投資案件を通じ、年10%を超える高利回りで延べ約2100人から9億円を集めた。
ソーシャルレンディング業者に対する勧告はこれで6件目。資金の返済が滞るなどの投資トラブルが頻発しており、今年7月には金融庁が業界大手maneoマーケット(同・千代田)に対して業務改善命令を出した。監視委は7日、投資家保護を徹底するため情報提供や説明を充実するよう金融庁に制度改正を求めた。