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意外に早い野球選手の「旬」 データが示す現実

野球データアナリスト 岡田友輔

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今年も残りわずか。球界はストーブリーグが峠を越え、大物選手たちも続々と契約更改を済ませている。シーズンの成績にかかわらず、すべての選手に共通するのは、ひとつ年を取ったこと。年の瀬の今回は野球選手と年齢について考えてみたい。

野手のピーク28歳、投手は25~26歳

野球人生の「旬」はいつごろだろうか。かつての清原和博さんや松坂大輔のように高卒1年目から大活躍する選手もいれば、20代半ばでプロ入りし、30歳を過ぎて脂が乗る晩成型もいる。山本昌さんは50歳まで投げ、新井貴浩さんは39歳で最優秀選手に選ばれた。だが、一部のベテランの活躍をもって、選手寿命が延びたと結論づけるのは早計だ。

データアナリストの蛭川皓平氏は「セイバーメトリクス・リポート1」の中で野球選手と年齢の関係について分析している。1950~2010年の膨大なデータを分析した労作だ。打席数に基づいた年齢別の出場機会をみると、野手のピークは28歳である。ここを100とすると、20歳の選手の出場機会は16%、34歳では56%となり、40歳では5%となる。

投手の働き盛りはもう少し早い。投球回数に基づいたピークは25~26歳。ここを100とすると20歳で41%。野手より早熟である半面、34歳では33%まで落ちており、40歳では2%。燃え尽きるのも早いことがわかる。

パフォーマンスはどうだろうか。蛭川氏は18~40歳の選手を対象に統計学の手法を使い、成績の経年変化を追うことで年齢が与える影響を割り出そうと試みている。これはかなり複雑な作業となるうえ、分析者の判断によるデータの重み付けなども入るため、あくまで「仮想の平均的な選手」の数字である。それでも一定の傾向を示すものとして、十分参考になる。

図で示した通り、出塁率や長打率に基づいた野手の「得点獲得能力(wOBA)」は27歳で1打席あたり0.373点と最高に達する。今季、パ・リーグの最優秀選手に選ばれた山川穂高はまさに27歳だ。そのほか、一般論として以下のような傾向がある。

(1)四死球率は若い頃から上昇し、年齢を重ねても衰えにくい。

(2)三振率は若いうちは急激に減少するが、30歳前後から徐々に増える。

(3)打球数に対する本塁打の比率は20代前半まで上昇し、20代後半から下降に転じる。一方、単打の比率は変化が少ない。

(4)スピードが強みの選手は長打力が強みの選手よりも衰えが早い。

次は投手だ。分析結果はかなり厳しい。防御率の経年変化においては、20代前半からほぼ一貫して悪化している。被打率や被本塁打率も高まる一方、奪三振率は反比例して落ちていく。救いは20代前半で急速に減少する四死球率だが、トータルの能力としては「投手は若いほどいい」ということになってしまう。

大リーグはFA選手獲得に二の足

野球観戦の経験則に照らすと、この結論には違和感を覚えるかもしれない。投手には経験や技術に裏打ちされた「投球術」が求められる。黒田博樹さんや上原浩治のように30代後半になって大リーグの一線で活躍した投手もいる。ところが統計が示す「平均的な投手」のイメージは「消耗品」というほかない。

この結論を絶対の正解とすることはできないが、分析の手法に目立った欠陥は見当たらない。となると蓋然性が高いのは、30代半ばを過ぎて活躍している投手は一部の例外に過ぎず、大半の投手は若くして燃え尽きているという残酷な現実だ。実際、実働が10年を超える投手は野手の3分の2程度しかいない。24歳でデビューし、今季43歳で引退するまで1000試合以上に登板した岩瀬仁紀さんは例外中の例外といえる。

野球選手の年の取り方は日本でも米国でも変わらない。近年、大リーグでフリーエージェント(FA)になった選手の移籍先がなかなか決まらない傾向がある。これは多くの選手の「旬」が従来のイメージ以上に早いことが分かり、巨額の投資に二の足を踏む球団が増えているためだ。日本でもFAで獲得した大物が期待外れに終わることがあるが、年齢とパフォーマンスの関係を考えれば驚くには当たらない。FAとはそれだけリスクの高い投資なのだ。

大リーグではこれまで年俸を抑えられてきた若手がFA権の取得前に所属チームと大型の複数年契約を交わすケースが増えている。球団からすれば旬の時期にしっかり働いてもらえるし、選手にとっても一定期間の身分と年俸が保証される。双方に利益があるわけだ。

「3年活躍して一人前」という考え方が根強い日本では、若手時代は年俸が上がりにくい代わりに、成績が振るわなくても変わらず億単位をもらっているベテランが相当数いる。若い頃の報酬を後払いでもらう論功行賞とも解釈できるが、すべての選手が長く現役を続けられるとは限らないから、もらい損ねる選手も出てくる。

「年齢でくくるのはどうなのか」

日米の年俸体系の差は文化の違いにも由来するから、優劣をつける問題ではない。だが、FA権を取得する前の選手は球団との交渉で弱い立場になりやすいうえに、多くの選手がFA権を得る頃には旬を過ぎてしまう点は留意しておいた方がいいだろう。日本の契約更改では選手側は交渉のカードが少ないように思う。大リーグのような第三者による年俸調停をもっと気軽に使えるようにするのが好ましい。球団格差などによる不公平感も減るだろう。

今年、マリナーズに復帰したイチローは年齢がネックとみられることについて意見を聞かれ、「どうやってそこまで過ごしてきたか、ということによって、同じ年齢でも状態としては違うことは当然。そういう見方をすれば、それだけでくくるのはどうなのかな、という思いはあります」と答えた。

プレーヤーの年の取り方に個人差があるというイチローの主張は間違っていない。大リーグの球団も年齢で一律に線引きするのではなく、選手が歩んできたキャリアや身体能力、プレースタイル、ポジションなどを踏まえた成績予想の精度向上に日々取り組んでいる。

年俸とは本来、期待値に基づいて払われるものだ。前年の成績が同じでも、上り坂と下り坂の選手で翌年の報酬に差が出るのはやむを得ない。所属選手の成績予想ができなければ、的確な投資や補強もおぼつかない。平均的な傾向をつかんだうえで、イチローや岩瀬さんのような例外をどう見極めるか。それもフロントの腕の見せ所だ。

 岡田友輔(おかだ・ゆうすけ) 千葉県出身。大学卒業後、民放野球中継のデータスタッフやスポーツデータ配信会社勤務を経て2011年に独立。株式会社DELTAを立ち上げ、野球のデータ分析やプロ球団へのコンサルティングなどを手がける。「デルタ・ベースボール・リポート2」を10月発売。

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