ブラジル地方裁、ボーイングの買収一時差し止め
【サンパウロ=外山尚之】ブラジルの連邦地方裁判所(サンパウロ州)は6日、米ボーイングによるブラジルのエンブラエルの小型旅客機事業の買収を一時差し止めるとの判決を出した。2019年1月に発足するボルソナロ次期政権の判断を待つべきだとしており、買収時期が遅れることになりそうだ。
訴訟は左派の労働党(PT)の議員によるもので、買収によりブラジルの雇用が失われると主張している。判事は差し止めの理由として「この時期(政権移行期)に具体的な行動を避けるのは賢明だ」としている。
ボーイングとエンブラエルは7月、エンブラエルの小型旅客機部門を切り離した新会社を設立し、ボーイングが80%を出資することで合意した。ブラジル政府はエンブラエルの重要事項に拒否権を行使できる「黄金株」を持っている。テメル大統領は今回の買収について、拒否権を行使しない方針だった。ボルソナロ氏もボーイングによる買収を認める意向を示している。