OPEC減産、暫定合意 減産幅は示さず
【ウィーン=飛田雅則】石油輸出国機構(OPEC)は6日に総会を開き、2019年1月以降の協調減産について議論した。価格下落が続く原油は世界景気の減速懸念で需要が減り、今後も供給過剰が続くとの観測が出ている。協調減産で原油安に歯止めをかける狙いがあり、非加盟国のロシアなども含め日量100万バレル超の減産を軸に合意を目指す。
ロイター通信によると、OPECは17年から取り組んできた非加盟国との原油協調減産を継続することで暫定合意した。非加盟国のロシアの決定をまって減産幅などを決めるという。
原油安の原因は需給の緩みだ。米国ではシェールオイルがけん引し、11月の産油量は日量1100万バレルを超え過去最高を更新したもよう。さらにサウジアラビアやロシアも高水準の生産を続けている。18年10~12月は日量85万バレルほどの供給過剰となっている。
OPECは7日にロシアなど非加盟国との会合を開き、減産への協力を要請する。原油価格の押し上げには大規模な減産が必要で、減産に慎重なロシアの対応が焦点だ。OPECとロシアは17年1月から協調減産で協力を続けてきた。
原油の供給過剰は19年に拡大する可能性がある。背景は世界景気の先行きへの不透明感だ。米国のトランプ大統領は、中国との構造改革協議が決裂すれば、対中関税を拡大する方針を改めて表明した。貿易戦争が激化すれば、世界最大の原油輸入国の中国の需要が冷え込む恐れがある。
英国の欧州連合(EU)離脱を19年3月に控える欧州では、英議会の紛糾が続く。離脱を巡り混乱すれば、欧州景気に打撃を与えかねない。OPECは11月の月報で「世界経済の不確実性」を指摘し、19年の原油需要の伸びを前年比で日量129万バレルと、前月から7万バレル下方修正した。
産油国が原油の生産を減らさなければ、供給過剰は19年1~3月に日量200万バレル強まで拡大するとの試算がある。原油価格に一段の下落圧力がかかる見通しだ。
6日のロンドン市場で原油相場が一時、大幅に下落した。国際指標の北海ブレント原油先物(期近物)は前日より3.20ドル(5.2%)安い1バレル58.36ドルを付ける場面があった。19年以降の減産幅が想定より小規模にとどまるとの見方から売りが膨らんだ。
トランプ氏は5日、ツイッターで「OPECは産油量に制限をせず維持してほしい。世界は原油高を見たくないし、その必要もない」と投稿した。OPECが減産で合意すれば、トランプ氏が批判を強める可能性がある。
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