米軍、ロシア極東沖で航行の自由作戦
【ワシントン=中村亮】米太平洋艦隊は5日、米国のミサイル駆逐艦がロシア極東のウラジオストクに近いピョートル大帝湾付近を通過したと発表した。国際法が認めていない海洋権益を訴えるロシアをけん制する狙いがある。米CNNテレビによると、同海域での航行の自由作戦は初めて。ロシアは反発するとみられ、米ロ関係に悪影響を及ぼしそうだ。
太平洋艦隊は声明で作戦を実行した理由を「各国が海洋の合法的な利用を継続できるようにするためだ」と説明した。米軍は中国が軍事拠点化を進める南シナ海などでも航行の自由作戦を実施しており、「日本海も例外ではない」と強調した。米メディアによると、ロシアは旧ソ連時代から、同海域で国際法が認める沿岸から12カイリの領海を越えて海洋権益を主張しているという。
米ロ関係をめぐっては、ロシアによるウクライナ艦船の拿捕(だほ)事件をきっかけに緊張が高まっている。1日に予定していた米ロ首脳会談もトランプ大統領が一方的に中止した。トランプ政権は4日、米ロ間の中距離核戦力(INF)廃棄条約をロシアが60日以内に順守しなければ、破棄に向けた手続きを始める考えも表明していた。