トランプ氏、OPEC減産を再びけん制
【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は5日、「石油輸出国機構(OPEC)は原油供給を絞るのではなく現状のままにすることが望ましい」との考えを示した。「世界は原油高は望まないし、必要とも考えていない」と強調した。6日のOPEC総会を控えて協調減産を探る産油国をけん制した。ツイッターで明らかにした。
米国では日常生活で自動車を使う機会が多く、原油高はガソリンの値上がりにつながり消費者の不満が高まる可能性がある。トランプ氏は「原油安となれば減税と同じ効果がある」と指摘したこともあり、なるべく安い価格が望ましいとの考えている。
さらに米国は中東で影響力を高めるイランの外貨収入を減らすため、各国にイラン産原油の調達をゼロにするよう求めている。原油市場の需給が引き締まり価格が上昇すればトランプ政権のイラン政策の失敗だとの批判を浴びるリスクがある。
サウジアラビア人記者の殺害にサウジ政府が関わった事件で、事実上の最高権力者のムハンマド皇太子をトランプ政権が擁護するのも両国の協力関係が崩れると原油高を招く可能性があると考えるからだ。ただ、サウジは原油価格が国家収入の増減に直結するため、OPEC加盟国やロシアなどの非加盟国と減産を模索している。
米国の指標原油のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は10月初めに1バレル76ドルをつけたが11月末には一時50ドルを割り込んだ。米国ではシェールオイルの生産が増えており需給は緩んでいる。
関連企業・業界