建設・土木株が逆行高 公共事業拡大に期待膨らむ
5日の東京株式市場で建設株が逆行高を演じた。政府がインフラ補修のために2019年度に公共事業関係費を最大2割増やすと伝わり、受注拡大への期待が膨らんだ。世界景気の減速など外部環境が不透明な中、国内需要で稼げるという安心感も株価を押し上げた。公共事業の拡大は景気下支え策の意味も持ち、相場全体にも好影響との声も出ている。
5日は日経平均株価が0.5%安となる中、三菱マテリアル系の建設会社のピーエス三菱や地質調査を手掛ける応用地質が4%高となった。大成建設など大手ゼネコンにも買いが膨らみ、大手4社はそろって上昇。住友大阪セメントも上昇し、年初来高値(5190円)にあと90円に迫った。業種別日経平均「建設」の上昇率は1%と逆行高を演じ、上昇率は全36業種中で2位だった。
建設株が買われたきっかけは、政府が老朽化した重要インフラの補修のために公共事業関係費を積み増す方針だと伝わったことだ。18年度補正予算と、19~20年度の当初予算を軸にそれぞれ1兆円程度を盛り込む方向で議論しているという。
大手ゼネコン株はリニア新幹線を巡る談合事件の発覚以降、上値の重い展開が続いていた。20年の東京五輪・パラリンピックの受注案件が一巡し新規の大型受注が今後は積み上がりにくいとの見方が広がったことも株価の上値を抑えていた。
5日は政府方針の報道を受けて「土木関係の受注が増え業績の底上げにつながる」(大和証券の寺岡秀明氏)との声が広がった。米中貿易摩擦の長期化などで世界景気に減速懸念がくすぶる中「国内の高い需要に支えられた内需株には買い安心感がある」(三菱UFJ国際投信の友利啓明氏)との見方も建設株への追い風になった。
公共事業費の増加は建設株だけでなく相場全体の下支え要因になる可能性がある。第一生命経済研究所の藤代宏一氏は「消費が増えずに設備投資も不透明感が強い中、公共事業の増加によって経済のけん引役を生むことができる」と指摘する。