米バンカメ、欧州拠点をダブリンに EU離脱に備え
【ロンドン=篠崎健太】米銀大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は3日、欧州事業の拠点を英ロンドンからアイルランドの首都ダブリンへと移す手続きを1日付で終えたと発表した。2019年3月末の英国の欧州連合(EU)離脱が迫るなか、不測の事態に備える金融機関の動きが本格化してきた。
英国がEUを離脱すると、いずれかの加盟国で免許を取れば全域で金融事業を自由に営める「単一パスポート制度」が英国に適用されなくなる。バンカメは英国に欧州拠点を置いてきたが、離脱後もEU域内でサービス提供を滞りなく続けるため移設を準備してきた。このほどロンドンの拠点機能をダブリン法人に統合し、アイルランド当局から事業免許を得た。
EU加盟国で英語を公用語とするアイルランドのダブリンは、フランクフルトやパリとともに、ロンドンからの金融拠点機能の誘致を競っている。地元メディアによると、アイルランド中央銀行はEU離脱に絡み、金融機関や資産運用会社などから100件を超す事業免許の申請を受け付けた。英大手銀バークレイズもEU事業拠点をダブリンに置く見通しだ。
バンカメは今後、ダブリン拠点がロンドンのほかフランクフルト、パリなどの欧州支店を束ねる体制となる。同社は声明で「顧客へ(金融サービスを)継ぎ目なく提供する準備が整った」と説明した。
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